クラブ破損で土壇場に交換 フィル・ミケルソン「全米プロ」制覇の裏話
6度目のメジャー制覇
2021年の「全米プロゴルフ選手権」で歴史をつくったフィル・ミケルソン。72ホール目での忘れられないシーンの中で、史上最年長のメジャー優勝者となった。
50歳がキアワアイランドで使用した用具のセットアップには、ロフト角わずか5.5度の新しいキャロウェイ「エピックスピード トリプルダイアモンド」が含まれていたが、大会の週を通してミケルソンの用具に関する事情は、順風満帆とは程遠い状況にあった。クラブには1度ならず2度も亀裂が入ってしまい、しかもそのうちの1本は、最終ラウンドのティタイムに備えているところで使用不能になってしまったのだ。
「あれだけハードに振っていたら、割れるなという方が無理だよ」と、ミケルソンは日曜の勝利後の会見でおどけてみせた。「そういうのは起こることだから。実際、それが起こらなければ、クラブメーカーに『これ、最高にホットな物をつくっているんじゃない?』て聞くよ」
最初に壊れたクラブは、2番ウッドとして使用しているロフト角11.5度のテーラーメイド「オリジナルワン “ミニドライバー”」だった。このクラブは、第3ラウンドの途中に陥没してしまったのである。
「些細なことは起こるものだけど、(土曜に)僕は12番と13番で2度、不合理なショットを打って、(見てみると)2番ウッドのフェースがぺちゃんこになっていたんだ」と、ミケルソン。「幸いなことに、バックアップのヘッドがあったので、それと交換して素晴らしいショットが打てた」
次に壊れたのはミケルソンの2番アイアンだったが、直すのは2番ウッドの時ほど簡単なものではなかった。そして、それは最終ラウンドのティタイムの直前に起こったのである。
ミケルソンは大会を通じてキャロウェイ「XフォージドUT」の2番アイアンをバッグに入れていたのだが、日曜のラウンド前練習中にクラブフェースに亀裂が入ってしまい、用具セットアップに変更を強いられることになった。彼の弟でキャディのティム・ミケルソンが、兄のフィルがクラブをバッグに戻した際に亀裂に気付いたのである。
2番アイアンの代替として、ロフト角16.5度のキャロウェイ「マーベリック サブゼロ」の4番ウッドを使用することに決めた。
火曜日以降、4番ウッドを練習で打っていなかったが、ミケルソンは日曜に何度かティショットでこのクラブを使用した。
「幸いにも、僕は4番ウッドを持っていて、飛距離的にアイアン1クラブ分くらいの差だったから、効果的にこのクラブを使うことができたんだ」とミケルソン。「あのクラブはとても上手く打てた。こういうのは往々にして起こることであり、それに対して備えておかなければならないのだけれど、そのために僕はここまでバックアップのクラブを持ってきているんだ」
言うまでもないことだが、この準備が実を結び、その日の終わりに重量27ポンド(12.2kg)のワナメーカートロフィーを手中に収めたのである。
(協力/GolfWRX、PGATOUR.com)