2020年 全米オープン

ミケルソンの使用ギアは2006年「全米OP」からどう変わった?

2020/09/23 09:25
フィル・ミケルソンが愛用するウェッジ(画像提供:GolfWRX)

2006年「全米オープン」の72ホール目で起こった出来事を最も正確に表現している言葉は、“悲痛”である。メジャー4勝目にして「全米オープン」初優勝を目指していたフィル・ミケルソンは、ウィングドフットで悪夢のフィニッシュを経験した。

大会後、「まだ、自分のしたことにショックを受けているし、自分のしたことがとにかく信じられない。僕は間抜けだった」と語った彼の言葉は有名である。450ydの18番(パー4)をパーで上がれば優勝、ボギーならプレーオフという状況に足を踏み入れた。そして、今となっては誰もが知っているような説明しようのないことが起こった。

何度も語られてきた最終ホールの約20分―。ファンからの人気による重圧、自分自身への願望、そして世界中のゴルフファンが抱いた期待を背負い込んだ姿を目の当たりにした。アグレッシブさは一度も彼の味方をせず、悪魔が憑りついたかのような時間となった。最悪のタイミングで自暴自棄となり、ダブルボギーで幕を閉じた。自身のナショナルオープンである「全米オープン」はこれまで6度の2位を味わい、今なお彼の生涯グランドスラムを阻む唯一のメジャータイトルとなっている。

最終ホールでスコアを落として勝利を逃す結末に

ミケルソンは連綿と進化を遂げる典型例であり、最新情報の飽くなき検索者としてよく知られている。使用するギアは彼のゲームと身体に並行する形で進化してきた。以下を見ても分かる通り、この15年でかなり変化した。

2006年当時よりギャッピング(各クラブの飛距離表)と最適な打ち出し角をもとに設計されつつ、史上最高の名手として謳われるウェッジに多くのオプションを持たせるセッティングへと変貌を遂げた。

それ以降は高ロフト角のウェッジを武器として取り入れており、今は有名な64度のウェッジとコンボアイアンセットを使用している。これは彼にとって生涯のライバルであり、長い年月の間で入れ替えたバッグの中身が5番ウッドのみという断固たる伝統主義者のタイガー・ウッズとは、対照的な変化となっている。

フィル・ミケルソンが2006年と2020年の「全米オープン」で使用したギアの一覧は、それぞれ以下の通りである。

2006年

ドライバー: キャロウェイFT-3ツアー(8.5度)
シャフト: 三菱ケミカル ディアマナ ブルーボード 73X

フェアウェイウッド: キャロウェイ X(3番15度)
シャフト:三菱ケミカル ディアマナ ブルーボード 73X

アイアン: キャロウェイX ツアー(2番-PW)
シャフト: プロジェクトX ライフル(サテン)7.0

ウェッジ: キャロウェイ Xフォージド(54度、60度)
シャフト: プロジェクトX ライフル(サテン)7.0

パター: オデッセイ PMプロト マレットブレード#9
グリップ: ロイヤルグリップ サンドラップ
ボール: キャロウェイHXツアー

2020年

ドライバー: キャロウェイ マーベリック サブゼロ(9度)
シャフト: KBS TD 70 C5 TX

フェアウェイウッド: キャロウェイ マーベリック サブゼロ 3+(3番13.5度、5番18度)
シャフト: KBS TD 80 C5 TX

アイアン: キャロウェイ エピックフォージド(4番-7番)、キャロウェイ APEX MB(8番-PW)
シャフト: KBSツアーV 125 S+(4番-PW)

ウェッジ: キャロウェイ マックダディ3(56度を53.5度に調整)、キャロウェイ PM GRIND 19年モデル“Raw”(ロフト60度-バウンス12度、ロフト64度-バウンス10度)
シャフト: KBSツアーV 125 S+

パター: オデッセイ ホワイトホットXGブレードPMプロト“フィル・ミケルソン
グリップ: スーパーストローク ピストルGTツアー

ボール: キャロウェイ クロムソフトX(トリプルトラック入り)

グリップ: ゴルフプライドMCC(ホワイト/ブラック)

(協力/ GolfWRX、PGATOUR.com)

2020年「全米オープン」で使用したパター(画像提供:GolfWRX)

2020年 全米オープン