Gマック、窮地を脱し準々決勝へ
「WGCアクセンチュアマッチプレー選手権」3日目、グレーム・マクドウェルは自分の運はすっかり使い果たしたと思った。
2度の激戦を勝ち抜き、なんとか3回戦にコマを進めたマクドウェル。彼はこの日、ダブマウンテンGCでの18試合でわずか4敗というハンター・メイハンと対戦したが、約2.4メートルのパットに失敗し、2ホールで2ダウンを許してしまった。
「16番グリーンを後にする僕の心は沈んでいた。自分はしくじったと思ったんだ」と、再び驚異的な逆転劇を果たしたマクドウェルは振り返る。「今回はさすがにダメだ、とね。そこから復活する方法なんて思ってもみなかった」
そんな状況のせいか、その後に起きた出来事はマクドウェル自身にも信じられなかった。
マクドウェルは次の17、18番ホールを奪取し、20番ホールでは6メートルのパーパットで持ちこたえた。そして21番ホールで約4.8メートルのバーディパットを決め、3度目の逆転勝利を果たしたのだった。
「運は使い果たしたはずだけど、まだ残っていたようだ」と、マクドウェル。
アーニー・エルスは3度の試合を終え、計57ホールを回って通算5オーバーとし、準々決勝へと駒を進めた。また、ジム・フューリックはどの試合でも少なくとも2ダウンとし、14回の出場で初の準々決勝進出を決めている。リッキー・ファウラーは(7番で)約5.5メートルのパーパットを控えていたものの、セルヒオ・ガルシアからのコンシードの申し出も後押しして勝ち抜いた。ガルシアはその前のホールであまりにも時間がかかってしまったことを申し訳なく思っていたのだ。
「WGCアクセンチュアマッチプレー選手権」にはこういった類の“不思議なエピソード”がある。
そしてマクドウェルは、すべてを乗り越えてきた。
リードした状態でティショットを打つことなく、3試合で58ホールをプレーできるプレーヤーなど、他にどう説明すればいいのだろう? 多くのプレーヤーは自分が勝つ試合にホッとするものだが、マクドウェルはちょっとした罪悪感を抱えていた。
「“恥ずかしい”っていうのは正しい表現じゃないな。僕は恥ずかしいとは思っていない」と、マクドウェル。「だけど、これまでの対戦相手から“無理矢理(勝ちを)奪う”っていう気がするんだ」
マクドウェルの準々決勝の相手が、バッバ・ワトソンを破ったビクター・デュビッソンになるのは妥当な線なのかもしれない。デュビッソンは今大会で相手からリードを取られておらず、試合中の彼は1ホールたりともリードさせることはなかった。
その他の試合結果は以下の通り。
-アリゾナでの大学時代にかなりの恩恵を受けた感のあるフューリックは、18番ホールでハリス・イングリッシュを下して序盤の遅れを取り戻した。彼の次の対戦相手は、本日18番ホールでバーディを奪い、ガルシアに1アップで勝利したファウラーだ。
-初日と2日目の2ラウンドで計40ホールを回ったジェイソン・デイは、ジョージ・クッツェーに3&1で快勝。デイは準々決勝で、本日5&4でウェブ・シンプソンに圧勝したルイ・ウーストハイゼンと対戦する。
-エルスは今大会2日目に全米オープン覇者のジャスティン・ローズを、そして3日目は全米プロゴルフ選手権の勝者ジェイソン・ダフナーと、2日連続でメジャー大会王者を破った。この日は再びワイルドなプレーを見せたが、“ビッグ・イージー”のニックネームを持つこの男は18番ホールでバーディを奪って1アップとし、ダフナーを下した。次は20歳のジョーダン・スピースとの戦いが待っている。スピースは通算10バーディで、前回覇者のマット・クーチャーを破った。一方、エルスの今大会でのバーディは通算9にとどまっている。
「WGCアクセンチュアマッチプレー選手権」の16年の歴史で準々決勝に進んだ唯一の意外な顔ぶれといえば、2006年のラコスタでのジェフ・オギルビーだ。彼は最初の4試合で、対戦相手がパットを決めて勝つのを10回は見てきた。オギルビーはそれから準決勝までのすべての試合で延長戦に持ち込み、大会勝者となった。マクドウェルも同じような結果なら、勝利が期待できるだろう。
「僕は“負けて当然”って思いでプレーしているんだ」と、マクドウェルは言う。
マクドウェルは初日のゲーリー・ウッドランド戦で3ホールを残しての3ダウンから、次の3ホールで逆転し、19番ホールでバーディを奪い勝利をつかんだ。2日目の松山英樹との対戦では松山が先に2ホールを先取し、4ホールを残して2ダウンの状態にあった。だがマクドウェルはそこから、3メートルのパーパットでスクエアとし、18番でパーセーブして逆転勝利を収めた。
また、今大会のゴルフコースで16勝4敗の成績を誇るメイハンにとっては、とんでもない出来事が起きた。
逆転勝利だった初日と2日目とは異なり、マクドウェルには8番、9番、10番で、バーディチャンスでリードするチャンスがあった。メイハンが11番でバーディを奪いリードすると、マクドウェルはすぐさま「1アップの状態は嫌なんだよね」とボヤいた。
打ち負かされるのには慣れっこのマクドウェル。特に試合の後半はそうだ。
メイハンは15番で約90センチのバーディパットを放ち、16番でマクドウェルが3パットでボギーを叩くと勝利した。17番では両者ともラフに打ち込み、バンカーで苦戦。マクドウェルはパーセーブまで3メートルのところ、メイハンはそれよりも数フィート内側につけていた。
確かに、マクドウェルの運は20番ホールで尽きたように思えた。9番パー4では彼の3番ウッドが深いバンカーにはまり、グリーンに届かなかった。マクドウェルはカップのふちに乗せようと9番アイアンで打ち、なんとか砂漠をクリア。そして3打目で6メートルを飛ばし、パーセーブ。次のホールまで戦い続けた。
マッチプレーでマクドウェルがメイハンを破るのは、今回が2度目だった。最初はウェールズの「ライダーカップ」での決戦だった。
「彼に何と言っていいのか、わからなかった」と、マクドウェル。「僕はあれこれ言ったけど、“ゴメン”とは言わなかった。だけど彼には申し訳なく思っているよ。起きたことに対して気の毒に思っているよ」。