ターザンに扮したガルシアが見せた木の上からの見事な脱出劇
セルヒオ・ガルシアはターザンと名を改めた方が良いかもしれない。
オークの木を4.5メートルほどよじ登り、そこからショットを放ってフェアウェイへボールも戻す事に成功したガルシアが、アーノルド・パーマーインビテーショナルの日曜のラウンドのハイライトを飾った。
パー5の6番ホールで9打叩くなど、この日のガルシアは10番のティショットを木へ打ち込むまでに、ベイヒルにて既に荒れた一日を送っていた。逸れたティショットは木にはまり込むに留まらず、二本の大きな枝の根元に収まってしまった。
カートパスに立って木を見上げたガルシアは、木に飛びつくと、そのままよじ登りを始めた。
彼と一緒にラウンドしていたウィリアム・マクグリットは自分の目を疑った。
「皆が木の周辺を見ていたのは知っていたんだ。でもあの木の中を見ているとは思わなかった。見上げると、セルヒオが宙高く上の方にいるから、一体何をしようとしているのか考えたんだ。そうしたら木につかまりながらクラブを指定してね。それでボールが飛び出してきたというわけさ」と語ったマグリットは、半ば呆れながら言った。「おいおい、冗談だろ?」
キャディがガルシアにクラブを手渡すと、周りにいた小さな観衆が沸いた。あれはひょっとすると木専用アイアンだったのかもしれない。
ガルシアは余りに高いところまで登っていたので、木につかまりながら身を屈め、キャディが終端を握って手渡すクラブのヘッドまで腕を伸ばさなくてはならなかった。
ガルシアはそこでできるプレーの選択肢を熟考すると、片手バックハンドショットを実行に移し、フェアウェイへの復帰を果たした。
更に驚くべき事に、木から降り始めたガルシアは2.5メートルほどのところから飛び降り、体操選手ばりの着地を決めたのである。至って冷静なガルシアは上気することなく、手を払うと次のショットの準備に取りかかった。
「信じ難い光景だった」と語ったマクグリットは、フェアウェイで腕組みをしながらこの一部始終を見届けた。
しかし、次のショットをミスして結果的にダブルボギーとしてしまったのは、ガルシアにとって非情に残念だった。この2ホール後、激しい雷雨に見舞われたため中断を余儀なくされ、その後、この日のラウンドが再開されることはなかった。その時点でガルシアはこのラウンドを5オーバーとしており、大会通算は3オーバーの成績。
マクグリットは、クラブハウスへ戻るバンの中でガルシアが彼に「もう帰るよ」と告げた事を語ってくれた。
彼は正式に大会から棄権したのである。
ガルシアは今週の早い段階に、精力や熱意が涌いてこず「家へ帰りたい」とこぼしていた。彼はマスターズでの現場復帰を目論んでいる。