術後良好のグーセン、理想のフォームを求めて
昨秋、ほとんどボロボロの状態だった椎間板の手術を行ったレティーフ・グーセンは、最近ほんの数ミリ、身長が伸びた気がするそうだ。そして何より、術後の痛みがないというのが吉報だ。
44歳の南アフリカ人は、昨年ザ・ツアーチャンピオンシップで48位タイに終わってから、いろんなことをシャットダウンして来た。彼はここ数年闘い続けてきた背中の痛みに嫌気がさしていた。夜な夜な寝返りを打つたびに痛みで目が覚めてしまう生活に、彼はもう耐えられなかった。
シーズン最終戦を戦ったカイワーアイランドを離れてから1週間後、グーセンは、ロンドンにいた。ゴムの付いたチタン製ディスクを背中の中心部に入れ込む手術を行うためだ。手術翌日、グーセンは早くも体調の良化を感じた。そして術後ひと月には、ほぼ痛みなく歩き回るレベルまで回復した。
手術から6週間を迎える今週の木曜日。グーセンは、AT&Tペブルビーチナショナルプロアマで2013年米国ツアーの初戦を迎える。彼自身がこの大会に出場するのは3度目だ。今シーズン既にいくつかの大会に出場しているグーセンは、生まれ故郷である南アフリカでのボルボゴルフチャンピオンズで2013年の開幕戦を迎え、見事に予選を通過して20位に食い込んだ。もうひと試合、コマーシャルバンク・カタールマスターズにも出場したのだが、そちらは予選落ちした。
全米オープンチャンピオンに2度も輝いているグーセンは、12月中旬までボールを打たなかった。クラブを握って練習を再開した直後の打球は「とても興味深い」ものだったらしく、わずか70ヤードほどしか飛ばなかったらしい。しかし1週間後には、グーセンはドライバーを打つまでに回復し、クリスマス休暇の前には、早く試合に出場してティショットを打ちたいとまで感じるようになっていた。
ケガから復帰したグーセンは「とてもエキサイティングだった。4日間のラウンド中、必死に歩いたよ。だけど背中はとても調子が良い。おかしいなと感じることも全くなかった」と語った。
不安ばかり抱えていた術前のグーセンとは、大違いだ。手術を終えた直後ですら、彼は再び試合に出場できるのかどうか、不安だったのだから。
「18ホールをプレーすれば、背中に痛みを感じることは避けられなかったし、なんてことないライのボールでさえ、もがきながら打つほど悪かったんだからね」と、グーセン。
「私にとって(手術)はとても難しい決断だった。だけど手術をすることが、完治するための唯一の方法だと感じたんだ…。あの頃は、もう私のゴルフ人生は終わったも同然だと感じていた。もうボールを打つことはできない、練習すらできないんだと覚悟していたからね」。
彼はいま、なんの問題もなくボールを打つことができる。「自分は椎間板の手術を乗り越えた史上初のゴルファーだ」と信じている楽天家のグーセンは今季、米国ツアーにフル参戦しようと考えている。ケガの影響もあり、彼の世界ランクは119位にまで落ちてしまった。メジャー大会の1つである全米オープンは予選免除を受けているが、ワールドゴルフチャンピオンシップで免除を受けることはできない。本戦出場までは長い道のりが待っている。
「今年は、20歳以上も若返った気がするんだ」。2009年のペブルビーチで3位になったグーセンは言っている。「とても気持ちが良いね。今はより良い成績を残せる絶好のチャンスが巡ってきたと感じている。少なくとも、ここ数年よりも格段に強く感じているんだ」。
「(術後)まだ日は浅い…。ここからの数カ月、いかに調子を上げ、保っていくのか。たくさん練習して自分のスウィングがどこまで戻るのか、確認していくことになるだろう。しかしどれもこれも、私にとっては(良い意味で)信じられないことの連続だよ」。