松山英樹 5年連続・日本勢最高位も「感覚のズレ大きい」
◇メジャー第1戦◇マスターズ 最終日(14日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)7475yd(パー72)
遠くにいても、誰に向けられた声援かはすぐに分かる。タイガー・ウッズがバックナインの混戦に入った頃、松山英樹は今年も温かい拍手を受けてホールアウトした。6年連続8回目の出場となった「マスターズ」は通算3アンダーの32位タイ。期待された優勝争いに加われず、悔しさを募らせた。
悪天候を警戒し、決勝ラウンドとしては異例のアウト・インスタートとなった最終日は、かろうじて1番スタートを守ったが、3バーディ、3ボギーの「72」に甘んじた。4つのパー5で、バーディを決めたのは8番だけ。13番では1Wショットをフェアウェイに運びながら、アイアンでの2打目をダフらせてグリーン手前のクリークへ。ハザードの中からの3打目をピンそば3mに寄せて歓声を浴びながら、バーディパットを決めきれない。
「良いところもあれば、悪いところもあったという感じで。そういうのが今週はずっと続いていた。何が原因かちょっとわからない状態」。バーディとボギーが入り乱れる、ちぐはぐした展開にため息をついた。
開幕前のオープンウィークに風邪をひき、影響が心配されたが「今週に入って練習はできていたので関係ないですね」と首を振った。今年に入って米ツアーですでに3回のトップ10入りを決め、自分自身への期待も大きかったからこそ失望感も隠さない。「1月からショットが悪い日も(短い期間で)ありましたけど、感覚的なズレがここまで大きくなったことはなかった。今週の練習ラウンドでズレてしまったのが一番悔しい」。4日間のフェアウェイキープ率60.71%は過去最低。得意のショットでリズムを作れなかった。
憧れのウッズは11年ぶりのメジャー優勝で完全復活をアピールした。松山はウッズが勝った直近のツアー3大会に一緒のフィールドにいる。その実力を目にしてきたため「なんの不思議もない。普通にやればそういう力がある人だと思う」とカムバックにも驚かないが、「そういうところで、やってみたいなというのが今の気持ちです」とスーパースターとの争いの輪に入れないことがもどかしい。
決勝ラウンドに残った直近5大会、出場した日本勢のうち、すべて最高位(2014年は日本勢唯一の出場で予選落ち)でフィニッシュしている。ただ、それで満足いくはずがない。例年はマスターズから2カ月後に次のメジャーが開催されたが、日程変更により今年からメジャー第2戦は5月の「全米プロ選手権」(ニューヨーク州ベスページ州立公園)になった。5週後に再び訪れるビッグイベント。「3カ月、うまくいったものがいきなりここまで悪くなるのには原因がある。ゆっくり考えて、次のメジャーではこういうことがないようにしたい」と再起を誓ってオーガスタを去った。(ジョージア州オーガスタ/桂川洋一)