2019年 ザ・ホンダクラシック

2日前に「無名」と書かれた男 ファウラー&ケプカを破り初勝利

2019/03/04 14:30
最終18番でバーディパットを決めるキース・ミッチェル(Sam Greenwood/Getty Images)

◇米国男子◇ザ・ホンダクラシック 最終日(3日)◇PGAナショナル (フロリダ州)◇7125yd(パー70)

リッキー・ファウラーブルックス・ケプカに競り勝って、ツアー初優勝した27歳のキース・ミッチェル。最終ホールのバーディで1打リードし「あの2人は“世界一”といえる選手。優勝を争えるだけでもすごいのに、まさか自分が…」と目を丸くした。

世界トップクラスの選手とは、あまりに対照的なキャリアを歩んできた。ジョージア大を経て2014年にプロ転向すると、中南米を転戦するラテンアメリカツアーが最初の主戦場になった。16年から米下部ウェブドットコムツアーに参戦したが、プロ転向後の優勝はノースカロライナ州で開催されたミニツアーの1勝だけ。「ラテンアメリカ(ツアー)ではプレーオフ負け。ウェブドットでも惜しいところまではいった。ツアーはステップアップしたけど、試合では勝てなかった」という。

PGAツアーのフルシードは、昨年初めて獲得した。今大会2日目を終え首位タイに立つと、翌日地元紙のゴルフ記事に踊った見出しは『No-name is leading Honda after Friday(無名選手がホンダクラシックをリード)』。友人の悪ふざけで、この記事の写真が送られた。「まだ1年だから、良いことばかりを書いてもらおうなんて思わない。誰だってどこかに(有名になる)スタートがある。だから、記事を否定的に捉えていない」と笑って受け流した。

勝ち星が遠くても前向きに進むキャリアには、一つだけ忘れられない思い出がある。17年ウェブドットコムツアーのレギュラーシーズン最終戦「ウィンコフーズ ポートランドオープン」の最終日。最終18番で15フィート(約4.5m)のバーディパットを外し、賞金ランク26位でシーズンを終了させた。この一打で、同25位以内に付与されるPGAツアーカードを逃し、4試合の入れ替え戦に回った。「あれは忘れられない。それ以来、常にあのパットのことを考えてきた。回数はわからない、数千回だろうね」

この日最終18番(パー5)、15フィートのバーディパットを残した。先にホールアウトしたファウラーとケプカのスコアを確認した。「これをパーにしたら、この2人とのプレーオフになる。過去にできなかったことをして、その瞬間を味わってみたかった」。緩やかなスライスラインに乗せたボールは、カップ中央から沈んだ。(フロリダ州パームビーチガーデンズ/林洋平)

Ice water in @K_m_Mitchell's veins. 🥶

What a way to get your first PGA TOUR win. 🏆#LiveUnderPar pic.twitter.com/ABt6sKOs4n

— PGA TOUR (@PGATOUR) 2019年3月3日

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