松山英樹の悲劇 カーヌスティ18番トリプルボギーで予選落ち
◇メジャー第3戦◇全英オープン 2日目(20日)◇カーヌスティ(スコットランド)◇7402yd(パー71)
雨水にさらされたカーヌスティの最終ホールには、いまだに悲劇の名残があった。4オーバー110位タイから出た松山英樹は「71」で回り、通算4オーバーで2試合連続、メジャーでは一昨年の「全英」以来の予選落ちを喫した。決勝ラウンド進出圏内で迎えた18番で、第2打をOBとしてトリプルボギーとする悲劇が起こった。
前日までとの晴天とは打って変わり、見慣れた全英の景色になったこの日、松山はレインウェア姿で出遅れを取り戻した。パットを決めきれないシーンを続けながら、「久々に2日連続で良い感覚が出てきて、ショットが安定していた」と手には好感触があった。後半14番(パー5)で2オンからイーグルを奪い、16番(パー3)で4mを沈めてバーディ。通算1オーバーのスコアには多くの人が安堵した。
だが、最後に落とし穴があった。
UTでのティショットをわずかに曲げ、打ち上げの左ラフからの2打目。「右から風が来ていたので、右のバンカーから(流れて)、グリーンセンターくらいに乗って、バーディパットが打てれば良い」という狙いのショットが思わぬ方向に飛んだ。左に出たボールは、フェアウェイを横切るバリーバーン(クリーク)よりもさらに手前のOBゾーンに。打ち直しの4打目はグリーン左手前のカラー、そこから3度パターを使ってようやくカップに沈めた。
「(第2打の)ライは全然問題ないと思ったけれど…残念です。(目の前の)土手に当たったと思う。自分でもまだ(原因が)分かっていないんで…」
当地で行われた1999年大会。3打のリードで最終日の最終18番を迎えたジャン・バンデベルデ(フランス)は、ここでまさかのトリプルボギーをたたいた。戦いは三つどもえのプレーオフにもつれ込み、涙をのんだシーンは「カーヌスティの悲劇」として全英史で語り継がれている。松山は優勝争いを演じていたわけではない。2日目に起こったことではあるが、その場面を多くの人が思い起こしても無理はない。
「(練習では)良い感触が出ているのに、試合で良くないのが続いていた。でも、きょうは久々にそういうのはなく、最後のセカンドだけミスをした」。周囲が声すらかけにくい、感傷的になりそうなときほど、松山は気丈に振る舞う。次戦は2週後、前年大会覇者として迎える「WGCブリヂストン招待」(オハイオ州ファイヤーストーンCC)。「それ(この日の感触)を今度の試合に生かしていけるように練習をしたい」と、まっすぐな目を伏せた。(スコットランド・カーヌスティ/桂川洋一)