歴史に名を刻む全米連覇 ケプカが遂げた「父の日のプレゼント」
◇メジャー第2戦◇全米オープン 最終日(17日)◇シネコック・ヒルズGC(ニューヨーク州)◇7445yd(パー70)
118回を数える全米オープンの歴史に名を刻む快挙にブルックス・ケプカは「本当に信じられないよ」と一声を発した。連覇は1988、89年のカーティス・ストレンジ以来で、7人目。4人が首位に並んで最終日を迎えた混戦を通算1オーバーとし、1打差で制した。同組は世界ランキング1位のダスティン・ジョンソン。「彼に勝てると思っていなかった」と目を丸くした。
前年大会はエリンヒルズ(ウィスコンシン州)で行われ、優勝スコアは通算16アンダーだった。伸ばし合い必須の舞台に飛ばし屋は「このコースはボクのためにある」と宣言。今年は一転しロースコアの最終日を5バーディ、3ボギーの「68」。後半11番(パー3)は奥のラフから2打目をミスし、グリーンを越えバンカーへ。4mのボギーパットを前に「ダブルボギーを覚悟した」が、カップ奥に当たり「グレートボギー」になった。
後続と1打差の後半16番(パー5)ではピンフラッグがしなる風の中、121ydからの3打目を1mに止めバーディ。結果的にこの1打が勝負を決め、「粘り強さが出てきたかな」と胸を張った。
昨年末に左手首を故障し、今年4月の「マスターズ」を欠場。約4カ月に及んだ離脱期間は「左手で物をつかめない。本当にストレスのたまるものだった」。自宅にこもる生活で体重は7kg増えた。4月末の復帰後、「フォートワース招待」で2位に入った。「このあたりから全米までの試合に勝てるように調整してきた」。
この日、1892年に建てられた米最古のクラブハウスの前で、夕暮れにカップを掲げた。ゴルフに出会わせてくれた父ボブさんの姿が目の前にあった。弟でプロゴルファーのチェイスが誕生した後、間もなく離婚した両親。前年大会、父は応援に来られず「父の日のプレゼントはここ2年渡していなくて…。ただ、ゴルフが大好きな父と喜びを分かち合いたい」とほおを緩めた。
大会3連覇を遂げたのは1903から05年までを制したスコットランド出身のウィリー・アンダーソンだけ。全米タイトルを計4度獲りながら31歳で早世した伝説的なゴルファーだ。
来年は、太平洋を望む絶景のペブルビーチゴルフリンクス(カリフォルニア州)が舞台となる。「グリーンが厄介らしいね。うまくいけば3連覇できるかな」。1年後、ケプカはどんな景色を眺めているだろうか。(ニューヨーク州サウサンプトン/林洋平)