フィル・ミケルソン、生涯グランドスラムへ 2年ぶりの挑戦
◇メジャー第2戦◇全米オープン 事前情報(11日)◇シネコック・ヒルズGC(ニューヨーク州)◇7440yd(パー70)
14日に開幕する「全米オープン」で4大メジャー全制覇に挑戦するフィル・ミケルソンは2年ぶりの大会出場になる。史上6人目(1934年マスターズ創設以降)の快挙に向け「まずは良い位置で週末を迎えたい」と静かに意気込む。
2013年に3つ目のメジャータイトル「全英オープン」を制したレフティは5年間、キャリアグランドスラムへの挑戦を続けている。毎年、否応なくかかるプレッシャーにツアー通算43勝のベテランは「考えすぎていない。そこ(優勝)を見過ぎたら初日に影響を及ぼしかねないからね」と冷静だ。
自らの夢を追うと同時に家族を優先する優しきパパでもある。「親である以上、子供の節目は人生において大事」。13年は長女・アマンダさんの中学校卒業式に参加し、初日朝にコースに戻り出場(2位)。16年も開幕3日前に次女・ソフィアさんの中学校卒業式に出席するため、会場のペンシルベニア州から3000キロ以上も離れたカリフォルニア州の自宅に帰宅。同年は予選落ちを喫した。昨年は長女の高校卒業式に参加するため24年連続出場を諦め、テレビで戦況を見守った。
今年は万全な調整をこなせる上、会場になるシネコック・ヒルズGCとは好相性だ。同会場での大会は過去2度出場し1995年は4打差の4位、04年は優勝者と2打差の2位。前回開催された04年からコースは改良されたものの、飛距離よりもグリーン周りの精度がカギを握るリンクスコースでともに優勝争いに絡んだ。ファンサービスも超一流で、ギャラリーからの大声援が偉業達成への力となりそうだ。
3月の世界ゴルフ選手権「WGCメキシコ選手権」では5年ぶりに復活優勝するなど、24年間、世界ランキングのトップ50入りを続ける。大会3日目には48歳になり、「ぼくのキャリアで最初に全米に出場したのは1990年だった。すごくよく覚えている。時間が経つのは早すぎるね」と振り返る。
6度の大会2位は最多。「キャリアグラウンドスラムを遂げるために全米のタイトルが必要になるけど焦らない。最後に勝つことが重要だから」。(ニューヨーク州サウサンプトン/林洋平)
キャリアグランドスラム達成選手(マスターズ創設以降)】
■ジーン・サラゼン/7勝(マスターズ1勝、全米OP2勝、全英OP1勝、全米プロ3勝)
■ベン・ホーガン/9勝(マスターズ2勝、全米OP4勝、全英OP1勝、全米プロ2勝)
■ゲーリー・プレーヤー/9勝(マスターズ3勝、全米OP1勝、全英OP3勝、全米プロ2勝
■ジャック・ニクラス/18勝(マスターズ6勝、全米OP4勝、全英OP3勝、全米プロ5勝)
■タイガー・ウッズ/14勝(マスターズ4勝、全米OP3勝、全英OP3勝、全米プロ4勝)
※生涯アマチュアだったボビー・ジョーンズは1930年に当時の4大メジャー「全英アマ」「全米アマ」「全英オープン」「全米オープン」をすべて制覇