最後の勝利&パーマーの命日から1年半 マキロイが復活
◇米国男子◇アーノルド・パーマー招待byマスターカード 最終日(18日)◇ベイヒルクラブ&ロッジ◇7419yd(パー72)
ラストシーンのイメージはずっと前からできていた。最終18番で8mのバーディパットを沈めたロリー・マキロイ(北アイルランド)は、体を回転させて拳を振り下ろした。「タイガーがここで何度もパットを決めてきたことを知っていたからね。真似してみたかったんだ」。3位から8バーディ、ボギーなしの「64」をマーク。後続に3打差をつける逆転劇で2季ぶりの米ツアー優勝を飾った。
2打差を追って最終組のひとつ前でプレーしたマキロイは、前半アウトで3バーディ。首位タイで迎えた13番でカラーからの4mを沈めたのをきっかけに、4連続バーディを決めて抜け出した。16番では1Wショットが驚異の372ydを記録。「最高のショットだった」と自賛し、パー5の第2打を残り121ydから放つと2パットで楽々バーディを決めた。
PGAツアーで前回優勝したのは2016年のシーズン最終戦「ツアー選手権」。最終ラウンドが行われた9月25日、アーノルド・パーマーがこの世を去った。「ほろ苦い気持ちだった。プロゴルフの象徴を失った日だったから」。かつて同大会に初めて出場した際、マキロイはベイヒルのクラブハウスで生前のパーマーと夕食をともにした。優勝した時や何かの節目には手紙をもらい、伝統を継ぐ選手のひとりとして特別な関係を築いていた。
「ここで勝ったのには縁を感じる。彼と同じ時間を過ごせたことは本当に幸運だった。この試合で勝った時には丘を上がって、彼と握手ができれば良かったけれど…。でもトロフィを勝ち取れたことがうれしい」
4月の「マスターズ」では、今年もキャリアグランドスラムがかかる。強敵ぞろいのフィールドを圧倒し「プレッシャーのかかる状況でショットを打てたことは大きい」と自信を込める。オーガスタへ向け、いよいよ役者がそろいつつある。