2018年 AT&Tペブルビーチプロアマ

ゴルフ場の下働きから米ツアーV テッド・ポッターJr.の紆余曲折

2018/02/12 14:30
世界ランク1位にも臆することなく戦ったテッド・ポッターJr.

◇米国男子◇AT&Tペブルビーチプロアマ 最終日(11日)◇ペブルビーチGL(カリフォルニア州)◇6816yd(パー72)

34歳のテッド・ポッターJr.は、優勝を決めた直後の18番グリーンで、目を赤くしながらテレビインタビューに答えていた。その声も震え気味だ。「本当に信じられない。とても興奮しているよ…」。

ポッターJr.は、高校を出た直後、19歳でプロ転向した。「大学に行きたいと思わなかったし、早くミニツアーで戦いたかった」と、ゴルフ場のカート置き場で下働きをしながら、優勝賞金数百ドルという小さな大会で腕をみがいた。2日間大会もあれば、4日間大会もある。それらの勝利は60回にも及んだという。

下部ウェブドットコムツアーに初参戦した2004年は24試合に出場して一度も予選を通れなかった。2011年に賞金ランキング2位となって翌年のPGAツアー出場権を獲得すると、勢いに乗ってルーキーイヤーに初優勝。だが、3年目の2014年シード中に、サンダル履きだった足を踏み外して右足首を骨折。手術をして、その後4、5ヵ月は球を打つことすらできず、結局1年半後にツアー復帰を果たしたがシード権を失った。

再びウェブドットコムツアーからはい上がって迎えた今シーズン。そしてこの最終日、最終組で世界ランク1位のダスティン・ジョンソンと争っても、多くのアップダウンを繰り返してきたポッターJr.は動じなかった。

7番でグリーン奧からチップインバーディ

「みんなダスティンが勝つと思っていただろうし、自分は穴馬みたいなもの。失うものはなく、最善のゴルフをしてあとは結果がどうなるか。世界1位と戦っているからって、自分に余計なプレッシャーをかける理由はないだろう?」

後続を数打リードして迎えた後半は、風が強くなってきたこともあり、フェアウェイの広いところを狙い、ピンを攻めず、グリーンセンターに載せて6mほどのバーディチャンスを作っていくという作戦を貫いた。やるべきことを淡々とこなしていった。

ある記者から辛辣な質問が飛んだ。「(足首を怪我して)ソファーに座ってこの先どうなるか分からないっていうときに、君は高校を出てすぐプロになったわけだし、もしゴルフができなくなったらどうやって生活していこうと思っていたの? そういうことを考えたりしなかった?」

返答のたびに「えーと」とか「うーん」と口癖のようにつぶやくポッターJr.だったが、この問いへの回答は簡潔だった。「いや、とくには。目の前の1日のことしか考えていないよ(笑)」。

地に足が着いているというのだろうか。優勝後、家族とはまだ話せていないというポッターJr.は、その反応をこう予想した。「みんな興奮しているし、ハッピーだっていうと思う。それに、こちらはすべてうまくいっているよって」。どこか、ほのぼのとする優勝だった。(カリフォルニア州ペブルビーチ/今岡涼太)

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