「できればやめたい」松山英樹が過激な反語に込めた思い
◇米国男子◇ウェイストマネジメント フェニックスオープン 初日(1日)◇TPCスコッツデール(アリゾナ州)◇7266yd(パー71)
大会3連覇への期待が集まる松山英樹は初日を5バーディ、3ボギーの2アンダー「69」として29位発進。出場5年連続で初日に60台をマークして「良かったと思う」と、ほおを緩めた。
同組で回ったリッキー・ファウラーが、5アンダーを出して午前組をリードしていた。途中、取りこぼしもあった松山の「良かった」という自己評価は意外だったが、正確に言えば「もっと悪いプレーを想定していた」というスタート前の予想と比較して、だ。
「ショットがかなり不安な中でスタートしたけど、意外とフェアウェイにも行ったし、あまり入らなかったけど良いパッティングもできた」との安堵感も入り混じった感想だった。
最初のバーディは前半13番(パー5)。1Wショットは左の砂地に曲げたが、残り279ydを3Wでスライスをかけて前方の障害物をかわし、グリーン手前のラフに運んで寄せワンとした。1ホール挟んだ15番(パー5)も2オン狙いでグリーン手前のラフまで運び、2つ目とした。
だが、その間に異変はあった。14番でティショットを打ち終えた松山は、ロープ外にいた飯田光輝トレーナーを呼び寄せて左手親指付近にテーピングを施してもらった。その後もときおり左手を気にするそぶりを見せながら、それでも後半も3バーディ、3ボギーのイーブンパーとスコアをまとめて戻ってきた。
ホールアウト後、松山の口から聞き慣れない言葉を聞いた。左手の状態について尋ねると「痛いですよ」と即答した。そして「できればやめたいですよ――」。
それは、裏返しの意味で使う反語として受け止めるべきだろう。“やめられるわけがない”し、“やるしかない”。その覚悟があるからこそ、重い言葉も素直に口にできたのだろう。「きょうのショットだったら、結構チャンスにもつけられる」という希望もある。
話し終えた松山は飯田トレーナーを伴ってロッカーへと引き上げ、20分間ほど手当てを受けてから練習場へと足を向けた。パッティング50分、アプローチ20分、最後は打撃へ。さすがに打ったのは1袋だけ(約20球)と控え目だったが、やるべきことはきっちりやった。2日目のスタートは午後0時2分(日本時間3日午前4時2分)と遅い。あとは時間が癒やしてくれることを祈るだけだ。(アリゾナ州スコッツデール/今岡涼太)