バックナインの悪夢 松山英樹「勝ちを稼ぎたい」
◇世界選抜VS米国選抜対抗戦◇ザ・プレジデンツカップ 3日目(30日)◇リバティーナショナルGC(ニュージャージー州)◇7328yd(パー71)
午後のフォアボールマッチ(各選手が個人のボールを打ち、1ホールごとにペアで良い方のスコアを採用する)に出場した松山英樹は、ジョナサン・ベガス(ベネズエラ)とのコンビで、米国選抜のジャスティン・トーマス&ダニエル・バーガー組に3&2で敗れた。世界選抜は3日間トータルで11ポイント差をつけられ、最終日のシングルス12マッチを前に、絶体絶命の窮地に追い込まれた。
7大会連続勝利が間近に迫った米国選抜のボルテージは最高潮に達した。ホームの歓喜の叫び声は大きくなるばかりで、世界選抜のミスショットには終盤、拍手まで起こるようになった。耳をつんざくUSAコール。松山にとっては普段のツアーで聞き慣れたものとはいえ、目の前の結果が屈辱的だった。
前日までの不振から午前中のフォアサムは出場機会を与えられず、松山は午後に満を持して登場。1Wのシャフトを愛用するオレンジカラーのモデルに戻してスタートすると、序盤は初めてタッグを組んだベガスをリードした。2オン2パットとした2番(パー5)でバーディ、3番では寄せワンでパーを拾い、4番(パー5)はグリーン左ラフからのアプローチを寄せてバーディ。ひとりで3UPとして、優勢に進めた。
「前半はうまくいっていた」と松山は言う。米国の1993年生まれの"ジョーダン・スピース世代”の2人には、中盤にペースを譲った。9番(パー5)で1UPまで押し戻され、10番(パー3)でバーガーに9mのバーディパットを決められてオールスクエアに持ち込まれた。
午後はオフのリッキー・ファウラーが、ガールフレンドと手をつないで米国ペアの応援に駆けつけると、米国ファンは大盛り上がり。バーガーは勢いに乗り、続く11番でティショットを左隣のホールに曲げながら、2打目をピンそば3mにつけてバーディとし逆転。調子の出ていなかったパートナーに流れを引き継ぎ、14番ではトーマスが下りのスライスラインを読み切ってバーディを奪った。
世界選抜の2人は巻き返せず、16番でともにパーを逃して終戦。松山は「後半にまたうまくプレーできなかった。相手の勢いにもやられた」と肩を落とす。対戦相手のクラッチパットが周囲に強いインパクトを与えたが、「バーディパットを打つ回数が少なかった。その辺の差もあるかなと思う」と振り返った。
世界選抜は、あすのシングルスで1人でも敗れれば19年ぶりのタイトル奪還の望みが断たれる。「チーム戦はかなり厳しい状態になった。それでも、ひとつでも勝ちを稼げるように頑張りたい」と、今週まだ白星のない松山。相手は再び、今シーズン激闘を繰り返してきたトーマスだ。奇跡のために負けは許されない。(ニュージャージー州ジャージーシティ/桂川洋一)