2017年 マスターズ

「アーニーならどうする?」スピースが初日41位から4位で最終日へ

2017/04/09 09:55
13番でバーディを決めたジョーダン・スピース。後押ししたのはアーノルド・パーマーだった

◇メジャー第1戦◇マスターズ 3日目(8日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7435ヤード(パー72)

初日の15番(パー5)では「9」をたたいたはずだった。2日目は41位と出遅れてスタートしたはずだった。それでも…ジョーダン・スピースとオーガスタは、どれほど相思相愛なのか。3日目に「68」をマークした2年前のチャンピオンが、通算4アンダーとして首位に2打差の4位タイで最終日を迎えることになった。

アーメーンコーナーの出口である13番(パー5)。右の林からの第2打地点で、スピースの声は、テレビ放送のマイクに拾われていた。「アーニーだったら、どうしたかな?」―――。

ピンまでは残り228yd。グリーン手前にはクリークが流れている。足場は松の枯葉。左前方にある大きな木で、グリーンへの視界は悪い。キャディのマイケル・ グレラ氏はフェアウェイへのレイアップ、“3打目勝負”を勧めてきた。「僕もあのピン位置で、レイアップしてからバーディを獲ったことがあることも知っていた。自信もあった」

しかし、スピースの本心は違った。「4Iでピッタリの距離が残ったんだ。この試合に勝つためには(優勝した)2015年(最終日)に同じホールで決断したように、最高のショットを打たなくちゃいけないと思った。『アーニーだったら、どうしたかな?』と言ったのは、マイケルに僕の意思を伝えるためだった。僕らはみんな知っているだろう。彼(パーマー)だったら、きっとそうするはずだって」。

今大会は、昨年9月に他界したアーノルド・パーマーをしのぶマスターズ。あのパーマーだったら、きっとリスク覚悟でグリーンを狙うはずだ―――。スピースの鋭いボールは、クリークを軽々と越えてグリーンに乗った。10mを2パットで沈め、この日5つ目のバーディを奪取。パトロンを魅了するクラッチショットで流れを引き寄せた。

過去に出場した直近3大会は2位、優勝、2位。「首位でないところでマスターズの日曜日を迎えるのは、僕にとっては新しい経験だ」という言葉に、自信が漂うのも当然だ。

「今の時点ではアグレッシブにプレーして勝ちにいく。そうしなければ、負けて家に帰るだけ。5位でも、10位でも、僕にとっては、大して意味のないことだ。早いうちにどんどんバーディを獲っていきたい」。追う立場で迎えるオーガスタの日曜日。亡きパーマーのように攻勢をかける。(ジョージア州オーガスタ/桂川洋一)

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