2016年 WGCキャデラック選手権

屈辱のプロ生活ワースト『81』 松山英樹「痛みはない」

2016/03/05 09:12
2番ホールの第3打で左打ちを披露した松山英樹。自己ワーストのスコアを記録した

屈辱。それ以外の何物でもない。最悪のラウンドを終えた松山英樹は、言い訳を吐くことを自分に許さなかった。フロリダ州のトランプナショナルドラールで開催中の「WGCキャデラック選手権」。2アンダーの11位タイから出た2日目は、4つのダブルボギーを含む「81」と米ツアー自己ワーストスコアを記録。通算7オーバーの60位タイに急降下した。

その時点では、まだ口元に笑みがあった。スタートから間もない2番、2打目をグリーン手前のラフに打ち込んだ松山は、通常の打ち方ではアドレスが取れず、左打ちでアプローチを試みた。クリーンヒットしたボールは、きれいに舞い上がり、不運にも奥のバンカーの縁へ。脱出に2打を要し、5オン1パットのダブルボギーとなって、苦笑いでカップからボールを拾い上げた。

表情が一気に曇ったのが続く3番。フェアウェイバンカーからの2打目をグリーン手前の池に入れ、痛恨の2連続ダボを叩いた。折り返しの9番(パー3)で、ティショットを再び池に突っ込み、3オン2パットとして3つ目。10番(パー5)では、1.5mのパーパット、返しの1mのボギーパットも外した。2度目の2連続ダブルボギー。一流選手の無残な姿に、現地のギャラリーは黙りこくった。

1ラウンド「81」は、2014年「マスターズ」第1ラウンドでたたいた「80」を上書きする自己ワーストスコア。日本ツアーでは2011年「カシオワールドオープン」第1ラウンドの同じ「81」が自己最悪だが、当時はアマチュアだった。

前週の「ザ・ホンダクラシック」を股関節痛で2日目に途中棄権した。週明けの練習日こそ痛みを引きずっていたが、状態は日々回復。初日に続きこの日も「何も問題なかった。痛み?ないですね」と松山は言う。傍らで見守った進藤大典キャディも「痛みはなかったと思う」と話した。

ラウンド中盤に見せたのは、一心不乱に1Wを振り続ける姿。前日とは、ほぼ真逆からの風。コースマネジメントの違いもある。だが内心は、それだけが理由ではない。「うん、まあ…良くないんで、ドライバーで…。ここまでスコアを打ってしまうとね…。切り替えて、1Wで良いショットを打てるまで打とうと思っていました」。痛みから解放されつつあるにも関わらず、思い通りにいかないもどかしさ。「体がバッチリでも、結果が伴わないときもある」。そう話したのは、前日のラウンド後のことだった。

予選落ちのない世界選手権シリーズ。「悪いものは悪いと受け止める。残り2日間あるので、少しでもいいプレーをできるように頑張りたい。(終盤に)なぜ少し良くなったかはちょっと分からないです。あしたの朝、練習して確かめたいと思います」。頭の中の整理がつかない状況で、懸命に言葉を紡いでいた。(フロリダ州ドラール/桂川洋一)

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