2015年 全米プロゴルフ選手権

今年は心配無用? D.ジョンソン、5年前の悲劇を振り返る

2015/08/13 10:55
公式会見に招かれたD.ジョンソン。5年前の悲劇について多くの質問が飛んだ

海外メジャー最終戦「全米プロゴルフ選手権」開幕前日の12日。前年覇者のロリー・マキロイ(北アイルランド)、メジャー今季3勝目を狙うジョーダン・スピースらに続き、最後に公式会見場に招かれたのはダスティン・ジョンソン。主役級の扱いで海外メディアの前に呼ばれた理由は、現地にいる誰もが知っていた。もちろん、ジョンソン本人も含めてだ。

今年度の舞台、ウィスリングストレイツ(ウィスコンシン州)で開催された2010年大会の最終日。首位タイでホールアウトし、プレーオフに進むはずだったジョンソンに悲劇が襲った。

問題となったのは最終18番。1打目を大きく右に曲げ、ボールはギャラリーの動線上にあるロープ外の砂地エリアへ。ボールが止まった地点は大会規定上でバンカーと定められていたものの、ジョンソンはそれを知らずにアドレス時にソール(クラブヘッドを地面につける)していたことが発覚。2罰打のペナルティを課されて順位が5位タイに訂正され、メジャー初優勝のチャンスは思わぬ形で夢と散った。

「5年前について思うことはあるかい?」この日の会見でも、やはり当時のシーンを振り返る質問が飛んだ。

「尋ねられたとき以外は考えないようにしていたけど、この件については数え切れないくらい聞かれたよ」と苦笑いのジョンソン。「でも、今年は心配する必要がなさそうだ。そこには設営スタンドが立てられていたからね」。

そう。18番の右サイド、ペナルティを科された砂地エリアは、ジョンソンの忌まわしい記憶を覆い隠すかのように、ホスピタリティ用設営スタンドの下に敷かれていた。「感謝の気持ちでいっぱいだ。PGAよ、ありがとう」。設営の意図は不明だが、冗談交じりで5年前からの変化を歓迎した。

コース内には大小含めて1000個ほどのバンカーが点在し、中にはジョンソンのようにベアグラウンドと見まがいそうな箇所も多い。選手ロッカールームの中には、コース内の砂地は全てバンカーとみなすよう念押しする注意書きが張り出されているという。

「まだ見ていないけれど、見る必要はないよね。もっとも理解しているのは、あんなことを起こした僕自身なんだから…」。(ウィスコンシン州シボイガン/塚田達也)

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