藤田寛之、ジム・フューリックから学ぶこと
今年、2年ぶり5度目の「全米オープン」出場を果たす藤田寛之。だが、46歳となった今、海外メジャー挑戦は、決して胸躍ることばかりではないようだ。
「昔は結構楽しかったけど、年を重ねてつらさが出てきた。世界の壁にぶつかっていくということから少し離れた自分がいたし、久々に来てこの(難しい)コース。つらいなぁっていうのがね、自分の中にあるのが寂しいけど、これも年かなぁってね(苦笑)」。
そんな藤田だが、目指すべきものは見えている。今週、自ら申し込んで練習ラウンドをともにしたのは、世界ランク3位のジム・フューリック。44歳(現在45歳)にして、今季5シーズンぶりに米ツアー優勝を果たした男は、平均飛距離ではツアー全体で194位。飛ばなくとも、世界の頂点で戦い続けている。
フューリックのことを「自分のカテゴリで一番上にいる人」と藤田は言う。飛距離でかなわなくとも、いかに戦うことができるのか?藤田が練習ラウンドで目の当たりにしたのは、当然ながらショット精度の高さだったという。
「ジムが5回やってミスしなかったら、自分は1、2回ミスするんですよ。それが18ホールになると4、5回になる。それが、こっちではダメなんですね」。
その高い精度を求めて取り組む藤田の姿勢は、師匠・芹澤信雄ですら理解できないレベルに達しつつあるという。
「(芹澤は)『お前が求めているのは凄すぎる。そこまで正確じゃないといけないのかよ』って。でも、この舞台ではダメだから、ダメっていう。それは師匠の分からないところって言われ始めて来ているけど…。世界第3位はそこまでやっているのでね」。
直近13回のメジャー出場で予選通過は2012年の全米オープンただ1度。今週も楽な戦いでないことは充分に知っている。「普段、ぬるま湯でやっているので、厳しく感じる」と藤田は言う。だが、進歩はまだ諦めていない。「果てしない旅があります」。チェンバーズベイでの戦いも、そんな旅の1ページだ。(ワシントン州ユニバーシティプレイス/今岡涼太)