全てフェスキュー芝で開催される初めての全米オープン
米国Golf Digest誌 2015 全米オープン特集<4>
フェスキュー(細く長い洋芝)は海岸性気候に理想的な芝であり、スコットランド、アイルランド、イングランド沿岸のリンクスコースでは一般的だが、米国のコースにおいてはその限りでない。
今日、必要とあらばコース内の全ての芝はグリーンと同じ短さまで刈り込むことができる。今回の「全米オープン」では、傾斜のきついグリーンは0.18インチ(0.45cm)に刈りそろえられ、スティンプメーターの数値に置き換えると12フィートとなる。またそこには顕著な芝目がある。
3~4インチ(7.61cm~10.15cm)まで伸ばされたフェスキュー・ラフがフェアウェイ両脇に帯状に配置され(場所によって、幅広のフェアウェイは40~50ydまで狭められる)、さらにその外側の芝はより伸ばされている。
「良質のフェスキューの美点は、他の芝に比べ、水や肥料が少なくて済むというだけでなく、私の知る限り最も粘り気の少ない芝であるというところだ」とUSGAのエグゼグティブ・ディレクターであるマイク・デイビスは言う。「この芝はすばらしいバウンドが得られるよ」。
ボビー(コース設計者のロバート・トレント・ジョーンズ・ジュニア)が付け加えた。「球が着地した際、いつ、どこで止まるのかが定かじゃないんだ」。
その狙いは「選手たちにピンから遠いところを狙わせて、最終的にピンの近くで止まるようなショットを強いることだ」とボビーは語った。「年を取るにつれ、地面を転がすゲームが好きになってきたのだよ」。
今回の「全米オープン」で、チェンバーズベイは2010年8月に開催された「全米アマチュア選手権」のときほど、乾燥して干上がった黄褐色にコースが彩られることはないだろう。この地方では冬から続く降雨は通常5月に終わり、6月は過渡期となる。デイビスは今回の「全米オープン」については比較的緑色になると予想しており、確実に昨年のパインハーストナンバー2よりは深い緑になると確信している。
「春の間、また『全米オープン』の期間中にも散水をすることはほとんどないだろう」とデイビスは言う。「パッティンググリーンの硬さに注視して、必要ならば散水する。その周辺やティグラウンドも同様だ。色にはあまりこだわっていない。球がよく弾むようにしたい。よく弾む緑色かもしれないし、よく弾む黄褐色かもしれないが、その辺は気にしていない」。
今年の優勝者について、デイビスは、事前に2、3度コースへ足を運んでプレーと研究を行った選手になるだろうと予測した。「もし、たった3回の練習ラウンドでこのコースを習得できると思っている人間がいたら」とデイビス。「そいつらはクレージーだ」。