連覇ならず…5位の松山英樹「自分を信頼できなかった」
オハイオ州のミュアフィールドビレッジGCで行われた米国男子ツアー「ザ・メモリアルトーナメント」最終日。10アンダーの5位タイから出た松山英樹は「70」で回り、通算12アンダーで5位のまま終えた。後半に3連続バーディを奪って追い上げた直後に、ダブルボギーを叩いて後退。大会連覇はならなかった。
トップと5打差を追ってスタートした前半アウトは、まさかの1ボギー。4日間で最も強かったこの日の風にも悩まされ、4番、6番と2m以内のチャンスも逃してハーフターンした。2年連続優勝が遠のいた…ギャラリーがそう思い始めた時、松山のエンジンはかかった。
11番(パー5)で5mを沈めてようやく初バーディを奪うと、13番、14番とセカンドショットをピンそば1m前後に絡めた。15番(パー5)では、ティショットを右ラフに曲げながら、レイアップ後の残り73ydの3打目をウェッジで30cmにつけて3連続バーディで通算13アンダー。「自分自身、すごく練習している距離感。大きかった」という一打。だが、トップ集団に2打差に迫った直後のプレーが痛恨だった。
グリーン左手前に切られたカップまではティから172yd。旋回する風に翻弄され、9Iでのショットはピン方向に出て手前の池に消えた。
「池を越えるには168yd。右からなら162ydで越える状況だった。ピン右から寄せるイメージで、フォローと信じて打った。ミスショットだった」
昨年の最終日も、この終盤の難関パー3で池ポチャからダブルボギーを叩いたが、今年は上位選手も崩れず、望みを絶たれた。
本人は「16番もミスだが、17番のセカンドが痛かった」という。フェアウェイから残り161ydの2打目でグリーンをオーバー。「自分のショットの距離感を信頼できていなかった」。
昨年は4日間連続でバーディを決めた18番ホール。今年はこの最終日に初めてバーディとした。ピン右奥から3.5m。1年前、プレーオフでケビン・ナを退けた際のパーパットと「ほぼ一緒」だった。「(キャディの進藤)大典さんと『何かのイタズラだろうね』なんて話していた。その通り打ったら、入りました」。悔いも残るラウンドの終わりは、苦笑いで締めくくった。
ディフェンディングチャンピオンにかかる重圧もはねのけ、再び優勝争いを演じていま思う。「ここで勝つためには、オーガスタ、メジャーで勝つためには、自分を信じられるものを持っていないとダメ。練習しないと」。ツアー全体で2位となる今季8度目のトップ10にも、ため息をつくのが松山らしさだ。
1週間のオフを挟み、次戦は18日(木)開幕の「全米オープン」。鬱積する悔しさを晴らすのに、これ以上ふさわしい舞台はない。(オハイオ州ダブリン/桂川洋一)