2015年 ウェルズファーゴ選手権

ショットが散っても粘り勝ち 松山英樹「奇跡に近い」

2015/05/16 09:38
ショットが散り、ストレスの溜まるラウンド。ちなみにこの後、松山はクラブを叩きつけずにグッと堪えました。

ショット後のリアクションだけを集めた映像があったとしたら、この日の松山英樹のプレーは、おそらく3オーバーくらいの印象を与えただろう。だが、実際のスコアは1アンダー。「ウェルズファーゴ選手権」2日目、松山は3バーディ、2ボギーの「71」とスコアを伸ばして通算4アンダーとし、順位は13位から19位へと落としたが、首位と6打差で週末へと歩みを進めた。

ラッキーとアンラッキー、ナイスショットとミスショット。流れを左右するような多くの要素が入り乱れた18ホールを、松山はおどしたり、すかしたりしながらも、最後は1アンダーでまとめ上げた。

10番スタートのこの日、最初のバーディは15番(パー5)。4m弱のバーディパットは、カップのふちをぐるりと回ってから、コトンと落ちた。

折り返した1番は3Wのティショットを左の林の中に曲げ、最後は9mのパーパットがカップに蹴られてボギー。続く2番(パー3)はグリーン手前のバンカーに落ちたティショットが大目玉。載せるのが精一杯で連続ボギーとした。

「自分のショットの感じがよく分かっていなくて、ありえないくらい飛び過ぎたり、ありえないくらいショートしたり、大変な1日だった」

5番(パー5)では、残り260ydのフェアウェイから3Wを振り抜くと、グリーンで跳ねて勢いよくロープ際のチェアに座って観戦していたギャラリー方向へ。避けようと飛び上がった青年の足に当たって、グリーンエッジへと跳ね返った。

球を当ててしまったギャラリーにサイングローブを渡してお詫び。きっちりとバーディで恩返しもした。

「サンキュー」と照れ笑いでサイングローブを手渡した松山に、周囲からは「グッド・ジョブ!ヒデキ」の拍手と掛け声。パターで寄せて、しっかりとバーディをもぎ取った。

7番(パー5)でも、フェアウェイから残り196ydを6Iでピンを20mオーバーさせた。「アゲンストでなんであんなに飛ぶんだ!って。自分の力感が強すぎたのかよく分からない…」。

続く8番は4Iのティショットをミスして右ラフへ。クラブをへし折らんばかりの怒りを見せたが、続く2打目を4mにつけてバーディ奪取。「パターは全然良くなかったけど、良いところで入ってくれた」と、ここ一番での勝負強さを発揮した。

「良いショットのときは良い感じで来ているけど、良いときと悪いときの差がなんで出ているかまだ分からない。そこが分かってくれば、もうちょっと安定してプレーできると思うけど…」

暴れるショットを必死に操る松山だが、ショットが本調子でないからといって、堅実なマネジメントに変えることは「ない」という。ベストと思われる決断をし、ピンチになったらまたリカバリーに全力を尽くすという戦いを続けるだけだ。

「自分の感覚として1アンダーは奇跡に近い。昨日の3アンダーもまぐれだと思う。まあ、4日間通してまぐれが起きてくれればチャンスはあると思うけど…」。そうそう奇跡は続かない。だが、残り36ホールで6打差は、奇跡に頼らないと手が届かない、ということもない距離だ。(ノースカロライナ州シャーロット/今岡涼太)

あどけない驚き顔も見せます。

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