予選通過にも笑顔なし 松山「通らないと優勝もない」
ラウンド中も、ホールアウトしてからも、ドキドキは終わらなかった。ハワイ州のワイアラエCCで行われた「ソニーオープンinハワイ」2日目、4バーディ、ノーボギーの「66」(パー70)で回った松山英樹は、通算2アンダーの69位タイとして、カットライン上で予選突破。アマチュア時代に3年連続予選落ち、昨年は怪我で欠場したこの大会で、初めて決勝ラウンド進出を決めた。
ホールアウト時点で50位台だった順位は、午後組の動きに合わせて急降下。一時は70位タイの瀬戸際まで追い詰められた。残り2組になっても予選落ちの恐れはあったが、それでも、最後は69位タイ。ワイアラエは松山を見捨てなかった。
初日はプロ転向後ワーストの111位タイと出遅れた。だが、2日目に入りショットは復調。「1日でよくここまで良くなったなぁというくらい良くなった」と前半からチャンスが続いた。
だが、肝心のパットが決まらない。前半15番は3mのバーディパットがカップの縁で止まって苦笑い。18番(パー5)でようやく1.5mを沈めて初バーディを奪ったが、見せたのは“こんなのしか入らない”という自虐的な笑み。3番では一瞬カップに消えかけた球がくるりと飛び出し、4番、5番も5mのバーディパットはカップの底を叩かなかった。
ため息とあきらめに支配された松山組のギャラリーの雰囲気が変わったのは、残り4ホールとなった6番だった。左サイドのクロスバンカーから残り126ydを50度のウェッジで下3mにつけ、これを沈めてバーディ奪取。待ちわびたように、笑顔と歓声がコースにあふれた。
続く7番(パー3)は、余勢を駆って178ydを8Iでピン下1mにぴたり。連続バーディとすると、最終9番(パー5)は1W、50度のウェッジとつないで楽々2オン。2パットのバーディとし、上がり4ホールを3バーディで締めくくった。
「ショットはすごく良かったので、(6番で)流れを作ったという感じもしなかった。でも、結果的に通れそうな位置で終われたのは良かった」と松山。印象的だったのは、にこりともしないその表情だ。
(予選通過の意味は?)「通らないと優勝もないから、そういう意味では良かった」
(ほっとした部分は?)「ないです」
この日も違和感が残ったままだったパッティングが、松山の険しい表情の原因だ。「ストローク自体が良くないので、それをどれだけ修正できるかだと思う」。
苦手意識とも、ワイアラエの“なにか”とも戦っていない。ただ優勝を目指し、目の前の課題に取り組む。それが、世界ランク15位の日常だ。(ハワイ州ホノルル/今岡涼太)