2014年 BMW選手権

“屈辱”の地へ戻った松山英樹、2年分の成長経て生き残りかける

2014/09/04 12:33
2年ぶりにチェリーヒルズCCに帰ってきた松山。悔しさを味わった場所で生き残りをかけた戦いへ

フェデックスカッププレーオフ第3戦「BMW選手権」は2007年の初開催以来、主にイリノイ州のコースが会場となっていたが、8度目の今年はコロラド州のチェリーヒルズCCが舞台となる。本格参戦1年目のシーズン最終盤を迎えている松山英樹にとっては、悔しい記憶が淡く残る場所だ。

1922年開場のデンバーの南に位置するプライベートクラブは、プロのトーナメント開催は2005年「全米女子オープン」以来。男子プロとなると、かつて3度「全米オープン」が行われたものの、直近では1985年の「全米プロゴルフ選手権」が最後となる。フィル・ミケルソンが優勝した1990年開催の「全米アマチュア選手権」はコースの輝かしい歴史の一部となっている。

松山の思い出は甘美なものでない。2年前の夏、同コースに帰ってきた「全米アマ」に世界トップアマとして出場したが、予選ラウンド2日間でカットラインに2打届かず、決勝ラウンド進出を逃した。当時を「当然期待して全米アマに出たので、相当悔しい思いがありました」と振り返る一方「あまり覚えてないんですよね。今思うと、そんな(悔しさ)でもないかなあと思う」と首をかしげるのは、この2年間の濃密さゆえかもしれない。

開幕前日の3日(水)、プロアマ戦に出場したのが、2年ぶりのラウンドとなった。すると「全米アマのときの方がしんどいイメージがありました」と言う。「自分が成長して、同じセッティングでもそう感じているのか分からないけれど、前やったときよりは少なくとも楽に感じています」。

前週の「ドイツバンク選手権」は風邪気味で決勝ラウンドをプレー。病み上りでの試合を懸念する声にも「風邪をひいたからといって、悪くなっているようではスイングは固まっていない。その感覚は正しくない」と言い訳にはしない。

次週のプレーオフ最終戦「ツアー選手権byコカ・コーラ」の出場権を獲得するのは、今大会終了後、ポイントランキングで上位30位以内の選手だ。松山は現在ボーダーライン上の30位に位置しており「他の選手はコントロールできない。70人全員に優勝するチャンスがある」と表情を引き締めた。

2年前の全米アマに出場した311人のうち、既にPGAツアー優勝を遂げたのは、松山とジョーダン・スピースの2人だけ。驚くべきステップを踏んだ、成長力を見せつける。(コロラド州デンバー/桂川洋一)

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