2014年 マスターズ

ウッズの抜けた穴に松山英樹 「期待と不安」の中で開幕へ

2014/04/10 08:00
オメーラの練習パートナーであるタイガー・ウッズが不在。松山にとっては偶然の好機だった

今季米メジャー初戦「マスターズ」の開幕前日、松山英樹は朝8時5分に10番からティオフし、インの9ホールをラウンド。1998年に「マスターズ」を制すなどメジャー通算2勝を誇る名手マーク・オメーラと2人で開幕前最後の練習ラウンドを行った。

早朝の澄んだ光が、ジョージア松の長い影を緑のフェアウェイに落とす。スタート前、松山とオメーラはどちらからともなく声を掛けてこの日のラウンドが実現した。「メジャーを勝っている人だし、すごいとは思うけど」と松山。「僕は優勝を目指して来ているんで、少しでも(オメーラのプレーを)見られたら良いなと思って回りました」。オメーラは例年、今年は欠場となったタイガー・ウッズと練習ラウンドをすることで知られている。

難関の“アーメンコーナー”。12番(パー3)は、ティショットがグリーン手前を流れるレイズクリークに捕まり、13番(パー5)の第2打も、グリーンには届かずクリークの土手に落ちた。「(調子は)全然上がってない。良い球は1球もなかった」。松山は憮然とした。

15番(パー5)では、2打でグリーン右手前のバンカーまで運び、そこから直接沈めてイーグル奪取。取り囲んだパトロンから喝采を浴びたが、「まぐれです。試合でバーディを取ればもっと歓声が上がると思うし、なんとも思わなかった」とそっけなく振り返る。それでも、16番ではオメーラと共に水切りショットを披露し、「初めて成功した」と笑顔も見せた。

16番で水切りショットに挑んだ松山英樹とマーク・オメーラ

「こんなに期待と不安が入り混じったマスターズは初めて」と松山は言う。オーガスタの刈り込まれたグリーン周りに合わせてバンス角の違う3種類(6度、8度、10度)のウェッジを持ち込み、4番(パー3/240ヤード)攻略のために球が上がりやすいポケットキャビティ(これまではマッスルバック)の3Iを用意し、シャフトも0.25インチ長くした。

「結果は自分が頑張った結果なので、どっちになっても受け入れていかないといけない」と、すでに退路は断った。前日まで気にすることもあったテーピングを巻いた左手を一顧だにせず、ホールアウト後は覚悟を決めたように3時間近くパット、アプローチ、打撃練習に没頭し、コースをあとにした。(ジョージア州オーガスタ/今岡涼太)

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