松山英樹 強風の中で16ラウンドぶりオーバーパーも「楽しかった」
暴風吹き荒れるフロリダ州のトランプナショナルドラールで開催中の「WGCキャデラック選手権」は2日目を終え、大会初出場の松山英樹は、通算5オーバーの25位タイ。ダスティン・ジョンソンら首位タイの4人に6打差で週末を迎える。
松山はこの日、午前8時45分から日没サスペンデッドとなっていた第1ラウンドの未消化分をプレー。わずか1ホールの9番(パー3)で5メートルのパーパットを沈め、イーブンパーの15位タイと上々のポジションで第2ラウンドを迎えた。
しかしこの日は終日快晴ながら、平均風速16メートル以上の猛烈な風が午後のプレーを一層難しくした。場内の旗はバタバタと音を立て、各ホールのピンは弓なりに。池の水面は海のように波立った。出だしの1番(パー5)で第3打をグリーン手前のバンカーに入れボギー発進。4番(パー3)ではアゲンストの風の中をロングアイアンで切り裂いて1オンさせたが、バーディチャンスに約30メートルを残して3パットボギーを叩いた。
さらに7番、第2打をグリーン左に大きく外し、続くバンカー越えのアプローチは、池に向かって下るラインのためピン方向を狙えず。「(セカンドは)抑えて打ったけれど、失敗して大事故を起こした。あそこに行ったら“6”は覚悟しないと」と4オン2パットのダブルボギーとした。
12番(パー5)で最初のバーディを決めホッとしたのも束の間、13番(パー3)ではグリーン左手前のバンカーのアゴに張り付いたボールを、かき出して2メートルに寄せるスーパーショットを見せたが、パーパットを決めきれない。15番(パー3)では痛恨の池ポチャ。パー4で1オンに成功した終盤16番からの2連続バーディも「ショートゲームが大事だなと痛感させられた一日」と、気持ちを満足させるには至らなかった。
3バーディ、6ボギー、1ダブルボギーの「77」。米ツアーでは昨年10月末、マレーシアで行われた「CIMBクラシック」の最終日以来、16ラウンドぶり、期間にして実に約4カ月半ぶりのオーバーパーを記録。12年の「マスターズ」最終日の「80」に次ぐキャリアでワースト2番目の数字だった。
しかし松山は「こういう風の中でゴルフをしたかった。経験になったし、楽しかった。もうちょっと吹いたら、もっと面白かった」と言った。第2ラウンドでアンダーパーを記録した選手はわずか3人。しかし「この中でどういう球が出るか、トップ選手がどれくらいで回ってこられるか知りたかった。去年の全英(オープン)は吹かなかった。これだけ速いグリーンで、この風ではやったことが無かったし、課題は見つかった。風に対するパッティングの距離感、ライン取りもまだまだ甘い。もっともっと必死で練習しないとダメ」と視線を高くした。
後退したとはいえ、上位争いから取り残されてはいない。「パットが入れば、6打はあっという間に追いつく」。5時間15分にわたる神経戦の後も、すぐにショット練習に勤しんだ。(フロリダ州ドラール/桂川洋一)