2013年 全英オープン

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全英OPレポート2013<3>】

2013/07/18 08:05
ジム・フューリックと練習ラウンド。後半はマッチプレーもやりました!(撮影:梅原敦)

ジム・フューリックジャスティン・レナードという、豪華メンバーでの練習ラウンドが実現しましたよ。まさにメジャーの最終日のような顔ぶれで、僕もスタートの時は少し緊張しましたが、明日からトーナメントが始まる事を考えたら緊張なんてしている場合ではありませんからね。すぐに冷静になり、2人の良いところをちょっとでも吸収してやろうと思いました。

特に注目したのは、ティショットの番手です。二人の飛距離は、ドライバーもアイアンもほぼ藤田さんと一緒です。ドライバーでちょっと力を入れた時のレナードは藤田さんより15ヤードぐらい前に行くかな。でも基本的には変わらないので今日は非常に参考になりましたよ。

ショートホールを含む全ホールで2人の持つ番手をチェックしたんだけど、アウトコースは藤田さんがレイアップを考えているホールでは二人も確実にレイアップしていました。ただ、レイアップで持つ番手が藤田さんより1番手短いんです。藤田さんが持つ番手でもハザードには届かないから間違いの無い確実な刻みなんだけど、そこよりもさらに後ろから打つには理由があるはず。

藤田さんにその辺を聞いてみると、「中途半端な距離を残してスリークォーターで打つよりも、しっかりとフルショットした方がグリーン上で止まるからじゃないかな。特にこれだけ下が硬いとバウンスが跳ねる分、ハーフショットでは距離感を合わせづらいから」ということでした。これはどちらの攻め方が正解かはなかなか難しいですね。

フューリックの位置からのセカンドショットは少し距離が残る分、バーディチャンスには付きにくいですから。藤田さんがドライバーを握った4ホールのうち、3ホールは2人もドライバーだったけど、セカンド地点がブラインドになる6番ホールだけは2人は3番ウッド。これは3番ウッドでダウンスロープに落としてフェアウェイを転がして行く作戦。藤田さんも同じルートで行ってもいいんだけど、ドライバーなら左のハザードを気にしなくてもいいという安心感がありますから。

いずれにしてもこの3人の場合は“三者三様”ではなく、3人がほぼ同じ考え。2人のコースマネジメントがメジャーを制したことを考えれば、藤田さんが今まで積み重ねてきた事も限りなく世界に近いという事でしょう。

後半はレナードが抜けて、フューリックと二人になりました。「せっかくなのでフューリックの持つ番手と同じ番手でティショットを打ってみて、その意味を探ってみましょう!」ということで、藤田さんがドライバーかレイアップかを迷うようなホールでは、フューリックのクラブ選択を真似て打ってみたんです。そうしたら、いろんなものが新たに見えてきましたよ。ここまでなら、ティショットであのバンカーは全く気にならないとか、このアングルからのセカンドショットは凄く打ちやすいとか。フューリックは毎ショットゆっくりと時間をかけて、キャディと一緒に最善の方法を考えてから打つので、クラブ選択のミスが少なく、コースマネジメントが凄くシンプルですね。

フューリックがね、「ビッケ(藤田さんの愛称)!後半はマッチプレーしようよ!」って言ってくれたので、凄く楽しい雰囲気で回る事が出来たんです。

本当ならばフューリックも半分で上がろうとしていたみたいなんだけど、「ビッケが回るのなら一緒に行くよ」って。本当にいい人でしょ。マッチプレーは1ダウンで負けたけど、今日のこのフューリックとの練習ラウンドはいろんな意味で藤田さんにとってプラスになる事ばかりでした。藤田さんの調子も今シーズン1番良い状態。明日から万全の体制でミュアフィールドに挑みます。応援して下さいね!

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