アンカーリングも問題無し。初の大会連覇に挑むマット・クーチャー
1974年に始まった「ザ・プレーヤーズ選手権」だが、過去の歴史を紐解いても大会連覇を果たした選手はいない。今年、そのジンクスを破る権利を持っているのは、マット・クーチャーただ1人だ。
昨年、通算13アンダーで2位に2打差をつけて同大会初勝利、自身ツアー4勝目を飾ったクーチャーは、「もう1年たったなんて、信じられない」と今も鮮明にその勝利を覚えている。先週日曜日に練習ラウンドをこなしたが、「(昨年の)最終日にプレーした沢山のホールや、ショットが蘇った」と再びその記憶を新たにする。そして、「誰も連覇をしたことがないと言うけど、少なくとも連覇に挑むのは楽しいだろうね」とにっこりと微笑んだ。
クーチャーにとって朗報がもう一つある。それは、アンカーリング規制に関することだ。クーチャーのパッティングスタイルは、パターを左腕に固定して行う独特のもの。そのスタイルが、アンカーリング規制の如何によらず違反にならない、と言われていることだ。(ルールは近日決定されるため、正しくは未確定だが)
クーチャーがこのスタイルにたどり着いたのは、ある偶然による。自身の所属するゴルフクラブでクリニックの手伝いに出向いたとき、そこに来ていたデイブ・ストックトンとパッティングに関して意見交換をしながらあれこれ試していたという。そして、ストックトンのパターを借りて打ったときに、短く持ったグリップの先が手首に当たった。そのままハンドファーストの形でパターを左手首に固定して打つと、「すごくフィーリングが良かった」という。その後、2年の試行錯誤があったという。
そしてこの日、そのパターを作ったベティナルディが、クーチャーモデルとして新シリーズを発表した。通常モデルはロフトが3度なのに対して、腕に固定して打つためのクーチャーモデルは同7度。すでに「WGCアクセンチュアマッチプレー選手権」ではこのパターで勝利を掴んでおり、両者とも満足げだ。
「アンカーリング禁止に対応するのは、このパターが一番だ」と開発者でCEOのロバート・ベティナルディは誇らしげに胸を張った。(米国フロリダ州/今岡涼太)