【藤田寛之専属キャディ・梅原敦のマスターズレポート2013<7>】
結果はもうご存知の通り、藤田さんは出場全93人中、87位と大きく出遅れました・・・。アウトコースは苦しいながらも持ち前のショートゲームで耐え凌ぎ、後半のチャンスホールで何とかアウトの2オーバーを取り返したかったんですが、そのチャンスホールである13番のロングホールで痛恨のトリプルボギーを叩き、一気に後退してしまいました。
今日は藤田さんの本来のショットではなかったですね。フェアウェイキープは14ホール中、5ホール。パーオンに至っては、18ホール中、7回でした。
でも、アプローチとパットのフィーリングはとても良かったですよ。グリーンを外した時には難しいアプローチばかりが残りましたが、抜群のタッチでほとんどパーセーブしていましたから。結果的に見たら、13番のトリプルボギーと17番のダブルボギーが痛かっただけですね。
その2ホールを除けば、決して調子は良くないにしろ、藤田さんらしい粘り強いゴルフでした。13番の大叩きは、僕のミスジャッジです。藤田さんは明らかにティショットをドライバーで打ちたかったんだけど、僕は3番ウッドを推しました。
もちろん根拠はありましたよ。藤田さんの今日のそれまでの調子や、ピンポジション。それに風向きや、どのルートで攻めるのがその時のベストかを考えた上で3番ウッドを推したんです。ただ、13番のティショットは、練習ラウンドで一度もスプーンで打っていなかったんです。
藤田さんは僕が勧めた通り、何も言わずに手にしてくれたんだけど、頭の中は絶対にイメージが無かったはず。あのホールはティショットで距離が出ないと、次のショットの時に左の林が凄く気になるんです。藤田さんの中にあった僅かな不安がインパクトの力みに繋がり、結果、左のクリークに消えて行きました・・・。
もちろん、自分はその時自信を持って藤田さんにスプーンを推したので後悔はしていないけど、今、冷静になって考えたら、いくら調子が良くなかったとはいえ、2つ前の難しい11番ホールで藤田さんはど真ん中に最高のドライバーショットを放っていたわけだから、もし13番でドライバーを握っていたら、仮にミスショットだとしても左のクリークに入る事はまず無かったでしょうね。
自分のミスも含めて今日は辛い結果になってしまったけど、まだ終わったわけじゃありません。これでもし明日藤田さんが凄いスコアを叩き出して予選を通過する事が出来たら、その時の喜びは想像を絶するものでしょう。藤田さんはいつも土壇場で必ずやってくれる。そのために僕も、もうミスは1つも許されません。