【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全英OPレポート〈2〉】
ついに吹きました、全英の風が。昨日までとはコースが一変。練習ラウンドとは言え、恐ろしさすら感じましたよ。ドーバー海峡から吹き付ける風はただ強いだけじゃなく、ずっしりと重たいんです。今日は藤田さんが会心のドライバーショットを放ったにもかかわらず、フェアウェイまで出なかったホールが3ホール、ドライバー打ってでグリーンに届かないショートホールが1ホールありました。ここまでの風は正直スコアになりませんね。やっぱりある程度は吹いてくれないと勝負にはなんないけど、今日は本当に厳しかった・・・。
実は藤田さん、先週スコットランドで行われた「バークレイズスコットランドオープン」に出場する予定で、こっちには早めに入っていたんです。でも試合の前々日から体調を崩し、当日も全く回復が見込めなかったため、泣く泣くその試合は棄権しました。
その後、藤田さんは2日ほど寝込みましたが今は元気に回復。試合に出られなかったのは残念ですけど、早くこっちに入ってたおかげで時差ボケは完全に無くなりましたからね。今週は先週の悔しさもまとめてぶつけてやる。
そうそう、昨日言いました“ポットバンカー”ですが、皆さんご存知でしょうか?名前の通り、ポット(つぼ・びん)みたいな形の小さくて深いバンカーの事です。イギリスやスコットランドのコースのバンカーは、ほとんどがこのポットバンカーなんです。
このポットバンカー、一般的なバンカーとは全く違って、入ると本当にやっかいなんです。
入る場所によって、前に出す事も横に出す事も出来なくて、後ろにしか出せないって事だってあるんですから。アドレスが普通に取れない事も多々ありますよ。
でも本来、バンカーはハザード(障害物)なんだから、簡単に脱出できるようだったらあんまり意味がないですよね。日本の試合ではあえてバンカーを狙って打っていく場合も結構あるので、バンカーがハザードって意識はちょっと薄い気がします。
全英オープンで上位に行くためにまず大事な事は、「ポットバンカー」に入れない事です。風やフェアウェイの起伏を計算し、いかにしてポットバンカーを避けていくか。でも実際は難しいんですよねー。今日みたいな風だと、計算しきれないし。でも、上位に行く人は間違いなく他の人よりポットバンカーに入れてないはず。だから藤田さんも、慎重に、慎重にバンカーを避けながら上位進出を狙います。