ミケルソン、暫定26位浮上も18番のダボに悔い
初日は3オーバー、62位と出遅れたフィル・ミケルソンは、2日目に5つのバーディを奪い、順位を上げて残り36ホールに望みをつないだ。前半3アンダーの33でターン、後半2バーディに対し1ボギーと1ダブルボギーの1オーバー36。2日目は2アンダー「69」、通算スコアは1オーバーと向上を見せたミケルソンだが、トップとの差は9打差から12打差に広がっている。トーナメントリーダーは全米オープン36ホール最少記録となる131ストローク(通算11アンダー)を記録したロリー・マキロイ。
初日はティショットを左にプッシュアウトしてしまうケースが多く、フェアウェイキープ率が35%と苦しい展開だったミケルソン。2日目前半はしっかりとフェアウェイを捕らえてチャンスをものにした。フロントナインで大きな鍵となったのは4番のパーパット。約4メートルのパーパットをねじ込むと、5番(2.5メートル)、6番(3メートル)、8番(1.2メートル)のバーディチャンスをものにして通算イーブンパーに戻すことに成功した。
後半に入ると11番で2打目をグリーン左のバンカーに入れてしまいボギー。14番ではグリーン奥から約10メートルの下りフックラインを入れてバーディ。5つ目のバーディは16番のパー5。ピンまで258ヤードのセカンドショットをしっかりと2オンに成功させてバーディを奪った。しかし難しい18番、533ヤード(パー4)ではティショットを大きく左にプッシュアウトしてしまいトラブル。2打目は低いスライスボールで果敢に2オンを狙うが右から左への傾斜にボールは乗ってしまい、グリーンの左サイドをガードするラテラルウォーターハザードに沈んでしまう。ミケルソンはドロップしてからの4打目をうまく寄せることができず、最終ホールは痛恨のダブルボギーフィニッシュとなってしまった。
最終ホールでスコアを落としてしまった影響でプレー後のインタビューは短いものだった。「あのダブル(ボギー)で残念な結果になってしまった。まだ調子は良くありません。今日はアンダーパーでしたが、実際はしっくりきていないです。 すぐに練習をするのではなく、少し何が必要なのかを考えてから練習場に行こうと考えています」とミケルソンは語り、ロッカールームに去っていった。
前半は良いゴルフを続けていたミケルソンだったが途中から昨日と同じようなミスを犯し後半にスコアを落とした。9番のセカンドショットを左にプッシュアウトしてしまい2オンに失敗。後半に入っても11番のセカンドショット、15番、17番、18番のティショットが左に行ってしまい苦しんだ。結果的に左に行っているミケルソンのショットを大きく分ける2つのタイプのミスがあると私は分析する。ミケルソンは基本的に右から左に曲がるスライスボールが持ち球だが、ドローで狙うときには左の肘を体に近づけて肩のラインをクローズ気味にセットしてくる。ドロー狙いのアイアンショットは出球のコントロールは良いが、クラブフェースのローテーションが足りない。ドロー回転がしっかりとかかっていない為ボールは左に行ったまま。対照的にスライス狙いのドライバーでは出球のコントロールが悪い。これはクラブの降りてくるプレーンよりもシャフトが下に抜けているため振り遅れてしまっている。今週は秘密兵器のドライビングアイアンでドローボールを狙っているが、これが一番の問題点かもしれない。ティグラウンドの一番右サイドから狙うアイアンでのティショットと、ティグラウンドの真ん中から左サイドを使うドライバーショットを比べると、目線、肩のライン取り、肘のライン取り、スタンス、そしてボールの位置が全く変わってくる。火曜日の練習ラウンドでドライビングアイアンがいい結果だったということだが、3日目からはティグラウンドの右サイドを使わずに真ん中から左サイドを使って右から左に曲がる持ち球に徹した攻めを見せて欲しい。週末に向けて好要素はグリーン周りのタッチがとても良いこと。短く刈られたエリアからでも深いラフからでもミケルソンマジックは健在。転がし、ロブショット、バンカーショットとタッチは抜群だ。
残りは36ホール。初日、2日目と一緒にプレーをしたマキロイとの差は12打差。ティショットの飛距離、ドローボールの安定度、アイアンショットの切れ味など完璧に近い内容だったマキロイのことを「VERY IMPRESSIVE」と語っていたミケルソン。メジャー競技の週末ラウンドでは技術的な要素よりもメンタル面の大事さを誰よりも知っているだけに、明日66か67ぐらいのスコアで通算アンダーパーに上がってくればサンデーバックナインにチャンスを残すことになるだろう。
アンディー和田 (ゴルフチャンネル 解説者)
★ラウンド データ
74-69-143(通算1オーバー)
2日目 69(2アンダー)
フロントナイン 33(3アンダー)
バックナイン 36(1オーバー)
・バーディ: 5ホール
・パー: 11ホール
・ボギー: 1ホール
・ダブルボギー:1ホール
・パー3: 通算イーブンパー
・パー4: 通算イーブンパー
・パー5: 通算2アンダー
・フェアウェイキープ率: 57.1% (14ホール中 8ホール)
・パーオン率: 72.2% (18ホール中 13ホール)
・合計パット数: 29パット
・バンカーセーブ: 2回中1回 1パットセーブ(50%)
・ドライビングディスタンス 2ホール平均 295.5ヤード(計測ホール 4番と 6番)