高画質TV問題に対し、R&A、USGAがルールの新解釈を発表
今季のメジャー第1戦「マスターズ」開幕直前、ロイヤル&エイシェント・ゴルフクラブ(R&A)と米国ゴルフ協会(USGA)はオーガスタナショナルGCで、近年の高性能映像技術によってもたらされるスコア記述の不備に対する新たなルール解釈についての発表を行った。
今回、規則33-7に対する裁定4.5として新たに追加されたのは、選手が競技中にルール違反を犯したが、そのことを知らず、またその事実をスコアカード提出前に発見することが公平に考えて不可能な場合、これまでは過少申告で失格となっていたが、今後はその罰打を加えたスコアに訂正され失格措置とはならないというもの。
今回のルール変更の発端は、今年に入ってからの相次ぐトッププレーヤーの失格騒動にある。米国、欧州男子ツアーでは、テレビの前の視聴者による“ビデオ判定”のような事態が大きな問題となっていた。
1月下旬の欧州男子ツアー第5戦「アブダビHSBCゴルフ選手権」初日の7番ホールで、パドレイグ・ハリントンがパッティングの際、グリーン上にボールをセットしてボールマーカーを取る瞬間に、右手でボールを動かしてしまったという事件。ハリントンは「ボールに手が触れたことは分かっていたが、揺れただけだと思った」とルール違反ではないと判断し、そのままプレーを続行した。しかし、ホールアウト後の視聴者の指摘によって問題が浮上し、翌日の第2ラウンド前にビデオを見直し、わずかにボールが動いていたことを認め、過少申告、失格を受け入れた。
もちろんルールに違反し、それに気づかない選手がペナルティを受けるのは当然のこと。しかし上記のような騒動は、プレーヤー本人では気づきようがなく、鮮明化の進む高画質テレビやスーパースローなどの技術革新によって“摘発”されるという新たなケースだ。また、テレビに数多く映る人気選手ほど“通報”される事例が増えるわけで、選手間に漂う不公平感も問題の一つだった。
しかし一方で、R&AとUSGAはルール違反を「気づかない」と「知らない」とは意味が異なることも強調。昨年の「全米プロ」のプレーオフでダスティン・ジョンソンがバンカーに指定されていた区域でソールしてしまったケース、今年1月の「ヒュンダイトーナメント・オブ・チャンピオンズ」でカミロ・ビジェガスが、ボールが動いている間に次のショットに影響を及ぼしかねないターフ(ルースインペディメント)を除去したケースなどは「知らない」に該当し、そのまま過少申告でスコアを提出すれば失格となる。