トランプ氏 ゴルフ界でも“NO”から表舞台へ返り咲き
ドナルド・トランプ氏が米大統領に返り咲く。かねて各国でゴルフ場経営も行い、プロツアーともかかわりを持ってきた同氏。政界から離れていた4年間をゴルフ界との関係性から振り返った。
2020年11月7日、大統領選でジョー・バイデン氏に敗れたと主要メディアが報じた時、トランプ氏は首都ワシントン近郊の自身のゴルフ場でプレーを楽しんでいた。
新政権の誕生とともにゴルフ界からも猛烈な逆風が吹いた。退任間際の21年1月6日、支持者らによる連邦議会議事堂への乱入事件が勃発。翌7日には、アニカ・ソレンスタム(スウェーデン)、ゲーリー・プレーヤー(南アフリカ)、故ベーブ・ディドリクソン・ザハリアス氏のプロゴルファー3人に大統領自由勲章(Presidential Medal of Freedom)を授与したが、世間から受章者に辞退を勧める声が上がった。
全米プロゴルフ協会(PGAオブ・アメリカ)は当初予定していた22年の「全米プロゴルフ選手権」の会場を、トランプ氏が所有するニュージャージー州のトランプナショナルGCからオクラホマ州サザンヒルズCCに変更。英国R&Aもスコットランドのトランプターンベリーを「全英オープン」開催コースのサイクルから外した。ニューヨーク市はトランプ一族が経営する市営施設との契約を打ち切り、トランプゴルフリンクスとして知られたフェリーポイントGCを手放すなど、多くの団体が前大統領に“NO”を突き付けた。
潮目が変わったのは21年の暮れ。全米プロゴルフ協会は「全米プロ」の開催コースに関する衝突について和解の意を示し、トランプ財団によるゴルフ界への貢献を称賛した。
翌22年にLIVゴルフが設立されると、トランプ氏は再び表舞台へ。既存の欧米ツアーと対立構造にある新リーグを支持し、7月の第3戦をトランプナショナルGCベドミンスターで行った。ダスティン・ジョンソンやブライソン・デシャンボーとのプロアマ戦にも参加し、リーグを後押しするサウジアラビア政府系ファンドを「彼らは多くの米国企業に投資してきた。ゴルフや選手に行っていることも素晴らしい」と持ち上げた。
さらにシーズン最終戦をフロリダ州のトランプナショナルドラールで開催。かつて世界選手権シリーズの「WGCキャデラック選手権」が行われていたが、政権1年目の2017年にPGAツアーが会場をメキシコに変更。「プロはメキシコに行きたくなかった。(大会は)あまりうまくいかなかった。彼らもツアーもここにいたかったんだ」と主張した。
3年目を迎えた今年もLIVの会場を訪問し精力的に動いていたトランプ氏は、大統領選真っただ中の9月15日、フロリダ州のトランプインターナショナルGCでプレーしていたところ、暗殺未遂の標的になった。第2次政権発足後は、溝が深い欧米ツアーとLIVゴルフとの懸け橋になるという期待の声もある。