アーメンコーナーで散ったライバルたちが証言 世界1位シェフラーの強さ
◇メジャー第1戦◇マスターズ 最終日(14日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7555yd(パー72)
同じ最終日最終組でプレーしたコリン・モリカワにとって、優勝したスコッティ・シェフラーはアマチュア時代から競ってきた近い世代のライバルだった。シェフラーは当時からショートゲームとパッティングはずば抜けていたが、ここ最近は特にアイアンショットのレベルの高さが際立っていると話す。「ドローもフェードも、全てのショットが打てるんだ」
だからこそ、ギリギリを狙ってニアサイドのバンカーに落とし、一発で出せなかった9番、フェアウェイから左サイドの池に入れた11番と2つのダブルボギーは痛すぎた。「ミスをしない相手にダボ2つじゃ戦えない」。グランドスラムに近づくメジャー3タイトル目は持ち越しとなった。
マックス・ホマは2打差でこらえていた12番(パー3)でダブルボギー。9Iのティショットはキャリーでグリーンをオーバーして前方に勢いよく跳ね、奥のブッシュに飛び込んだ。アンプレヤブルを宣言するなど4オン1パット。「(狙いすぎて)裏目に出た、とかじゃない。グリーン左サイドのセンターに打とうとしたんだ。もっとひどいショットが(奥から)転がり落ちるのも見たことがある。正直、フェアな感じがしなかったよ」と不運を嘆きつつ、相手をたたえた。
「彼(シェフラー)の決断力、マインド…。物事を受け流し、難しいショットを意のままに打つことができる。もちろん素晴らしい才能の持ち主だけど、それこそが彼のスーパーパワーなんだと思う。彼がいいプレーをすることが分かっている以上、チップインやロングパットなど、どこかで何か特別なことが必要だった」。手堅くいいプレーを重ねるだけでは逆転は難しいと思わせる強さが、シェフラーにはある。
その強大な相手に最も迫ったのがルドビグ・オーベリ(スウェーデン)。セカンドを池に打ち込んだ11番のダブルボギーで1979年のファジー・ゼラー以来となる初出場でのマスターズ制覇は一気に厳しくなったが、そこから2バーディを奪って単独2位に食い込んだ。
ずっと意識していたというリーダーボード。そこにあったシェフラーの“名前”が周囲に影響をもたらすレベルになったかと問われると、「イエスでもあり、ノーでもあると思う。みんなトーナメントの最後の2、3ホールになると、彼がそこ(トップ)にいると予想する。彼自身が何度も証明してきたしね。それは僕にとっても、フィールドにいるほかの選手にとっても同じだろう」。長く世界ナンバーワンに君臨するシェフラーならではの無形の力を証言した。