レジェンドに次ぐ若さでマスターズ2勝目 シェフラーの“幸せ”はこれから
◇メジャー第1戦◇マスターズ 最終日(14日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7555yd(パー72)
「負けるのが嫌い。日曜に首位にいたら、絶対に勝ちたい」――。スコッティ・シェフラーが世界ランキング1位に君臨する原動力は、この人一倍ともいえる負けん気の強さかもしれない。コリン・モリカワ、マックス・ホマといった実力者、スター候補生のルドビグ・オーベリ(スウェーデン)との争いを制し、圧巻のプレーで逃げ切った。
勢いづいたのは8番(パー5)。「いいショットを2度打てた」と、フェアウェイからの2打目でグリーン奥まで運び、3打目を3mに乗せてバーディ。タフな9番、10番まで「3連続バーディで後続を引き離した。
2位に2打差をつけて迎えた13番(パー5)では、20m超を2パットで決めてバーディ。14番は2打目を“OK”の距離に乗せる連続バーディでスコアを伸ばした。
16番(パー3)は3m弱をねじ込み、ダメ押しともいえるバーディ。リードを4打に広げ、上がり2ホールも隙を見せずに数十センチのウィニングパットを沈めて両こぶしを振り上げた。
「68」で唯一の2桁に乗せる通算11アンダー。自身5度目のオーガスタで2年ぶりに頂点に立った。27歳9カ月24日での複数回優勝は、ジャック・ニクラス(25歳2カ月21日)、タイガー・ウッズ(25歳3カ月9日)、セベ・バレステロス(スペイン、26歳2日)のレジェンド3人に次ぐ4番目の若さだ。
3月に勝った「ザ・プレーヤーズ選手権」と同一年でのマスターズ制覇は、2001年のウッズ以来2人目の快挙。当時のウッズは前年6月「全米オープン」から7月「全英オープン」、8月「全米プロ」とメジャーで連勝を飾り、01年マスターズまで続く“タイガースラム”を成し遂げたまさに全盛期だった。
“シェフラー時代”の到来を告げるかのようなビッグタイトルをかみ締めつつ、本人の頭はもう3週後に控える第一子の誕生に向いている。「今夜は優勝の余韻に浸って家に帰る。これからは、妻と子どもが最優先になるから、ゴルフはその次かな」。さらなる幸せは、まだこの先に待っている。(ジョージア州オーガスタ/谷口愛純)