“もしかしたら”があるからこその難しさ 松山英樹「ちょっと、苦しいゴルフ」
◇メジャー第1戦◇マスターズ 最終日(14日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7555yd(パー72)
松山英樹にとって13回目の「マスターズ」初日。チームの面々とふざけながら笑顔でスタートホールに向かったが、普段と異なる緊張感は確かにあった。「“もしかしたら”勝ちを狙える状態で入ってきたら、それはそれで、難しい。松山選手だけでなく、チーム全員、力んでいるのが分かった」と黒宮幹仁コーチは振り返った。
2月「ザ・ジェネシス招待」で2年ぶりの優勝を飾り、そこから12位→6位→7位と好成績を重ねて迎えたマスターズウィーク。PGAツアーの優勝者予想番付では4番手に入った。フィジカルのコンディションを試合で戦える状態に持っていくことが懸案にもなっていた過去2年に比べると、周囲の期待値も高かったことを示している。3年ぶりのグリーンジャケットへ期待と不安が入り混じるなか、最高のパフォーマンスを出すのは想像以上に難しい。
スタート前の練習場では、ショットの感覚は決して悪くなかったという。松山は「朝(の練習での調子)はめちゃくちゃ良かったのに、それがコースに出て、思うようにできなかった感じがあった」と話す。ティショットが散らばり、フェアウェイキープ率35.71%(5/14)。4日間で最も低い数字となった。前週7位だった「バレロテキサスオープン」では3日連続チップインを決めるなど光ったアプローチも、今週はなかなかスコアにつながらなかった。
28位から1バーディ、3ボギーの「74」で回り、通算7オーバー38位で終えた。「ちょっと、苦しいゴルフでしたね」。18番グリーンでキャップを脱ぐと、大きく息を吐いた。
「飛距離は、この2年で飛んでいなかったものがちょっとずつ戻っている実感もあった。それを継続して、残りの半年を頑張っていきたい」。フェデックスカップランキングはわずかに後退して5位となったが、上位で8月末まで続くシーズンの後半戦に入っていく。
「ショットもパットも、もう少し時間がかかりそうな感じ。練習できる身体をしっかり戻して、次のメジャーに向けて頑張りたい」。月をまたげば、すぐにメジャー2戦目「全米プロゴルフ選手権」(5月16日~/ケンタッキー州バルハラGC)が待っている。(ジョージア州オーガスタ/谷口愛純)