初めてのマスターズへ 久常涼のボールマークと“恩師”からの言葉
◇米国男子◇バレロテキサスオープン 最終日(7日)◇TPCサンアントニオ オークスコース(テキサス州)◇7438yd(パー72)
最終9番でダブルボギーをたたいた久常涼は、募る思いを噛み殺すようにしてホールアウトした。1オーバー54位から「77」で通算6オーバーの78位。カットライン上で予選を通過して臨んだ週末は“裏街道”で悔しさをいっぱいにした。
2週前の「バルスパー選手権」から2試合続いた決勝ラウンド。グリーンの端に切られたピンを恐れずに攻めたが、強風にも苦しみ狙い通りのスコアメークができなかった。この日はパーオン成功が半分の9ホール。4日間で一度も60台をマークできないままコースを去った。
昨年、21歳にしてDPワールドツアー(欧州ツアー)でルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いた実績などを買われ、次週のメジャー初戦「マスターズ」(ジョージア州オーガスタナショナルGC)からの特別招待を受けた。本人が考えていた時期よりも早く初出場が決定。ツアーがチャーターした航空機でこの日の夜にオーガスタに向かった。
マスターズは幼い頃からもちろん憧れの大会のひとつ。過去には、初日は「プレーヤーズ選手権」、2日目は「全英オープン」…といった形で、「出たい試合のボールマークを使ってきた」。そして、最終日はいつもオーガスタナショナルGCのもの。オフにした前週、コースチェックのため初訪問し、「新しいマーカーを買いました。自分で買えるように、この場に来られたなと思うと、ちょっとなんとも言えなかったです」と感慨深くも思った。
4日後が楽しみな半面、緊張感、重圧…と、様々な心配事が思い浮かぶ。耳に残っているのがナショナルチーム時代の恩師の言葉だ。「(ヘッドコーチのガレス・)ジョーンズさんにもいろいろ話を聞いたんですけど、言われたのは『ゴルフ場だからね』ということ。舞い上がらないように頑張りたいです」。どれだけ舞台が世界の頂にあっても、大好きなゴルフをすることに変わりはない。(テキサス州サンアントニオ/桂川洋一)