“イレギュラー”だらけの3日間 久常涼は1打届かず「ちょっと実力不足」
◇米国男子◇WMフェニックスオープン 3日目(10日)◇TPCスコッツデール(アリゾナ州)◇7261yd(パー71)
「いい天気のはずの場所で、ちょっとビックリ」。久常涼が第2ラウンドを終えたのは、大会3日目の午後1時前。久常にとってイレギュラーだらけの大会は、1打足りずに予選落ちとなった。
ウエーティング1番手にいた初日の朝は、スタート時刻の3分前に繰り上がり出場が決まり慌しくティオフ。悪天候の影響で試合のスケジュールも大幅にずれ込んだ。第1ラウンドは初日のうちに完走できたが、10日(金)に予定されていた第2ラウンドのスタート時間は、日没と同じ午後6時6分。
「スタートができないのは分かっていたので、ちょっと練習してゆっくりしていました」と想定通り、スタートできたのは久常の一つ前の組までだった。第1ラウンドを終えて98位。午後5時過ぎにはコースを出て、予選通過を目指して翌日に備えた。
午前7時30分に出た第2ラウンドは、後半6番までに2つ伸ばしたが、予選通過ラインには2打足りない。「もう、自分が伸ばさないといけない状況」とプレッシャーが増す中、7番(パー3)はグリーン左サイドのバンカーから直接カップに沈めてバーディを奪う。
予選通過まで1打に迫ったが、8番はフェアウェイからの2打目がグリーンをオーバーし、3m弱のパーパットも入らなかった。後退して迎えた最終ホール。「もう入れるしかなかった」と150ydを残したフェアウェイからの2打目は、ピンに絡めるショットでギャラリースタンドから歓声を巻き起こした。
1.5mのバーディパットを沈めて通算1アンダーでフィニッシュ。足りなかった1打は「ちょっと実力不足」という気持ちと、「ギリギリのところで落ちたのは、戦い的には悪くなかった」と評価できる部分と半々。米ツアー本格参戦1年目のことし、4試合目で初めての予選落ちを喫した。
今月7日には、2024年度「JOC 認定オリンピック強化指定選手」に選ばれた。「パリ五輪」の会場は、昨年の欧州ツアー「カズーオープンdeフランス」で優勝を飾ったコース。「初優勝した舞台なので戻りたい」と力を込める。次戦は22日開幕の「メキシコオープンatヴィダンタ」になる予定。「また次の試合に向けて頑張っていければ」。思いがけないことが続いた1週間は、また一つ経験になった。(アリゾナ州スコッツデール/谷口愛純)