2022年 全英オープン

リンクスは“エゴ”との闘い スミスは聖地の予選最少スコア樹立

2022/07/16 10:54
単独首位に立ったキャメロン・スミス

◇メジャー第4戦◇全英オープン 2日目(15日)◇セントアンドリュース オールドコース(スコットランド)◇7297yd(パー72)

大きなフックラインを下っていくボールを、静かに見守っていた。14番(パー5)。下り傾斜を伝い、カップに滑り込んだ18mのイーグルパットにもキャメロン・スミス(オーストラリア)はそっけない。「僕はあまりエキサイトしないから。たくさんの人が『見ていて退屈』って言うんだけど(笑)」。ギャラリーの大声援にも右手を軽く上げて応えただけだった。

ベストスコア「64」で、2位に2打差をつける通算13アンダーに伸ばしてウィークデーを終えた。「131」ストロークは、第1ラウンドからの36ホールでの大会史上4番目の好スコア。セントアンドリュースでは最少ストローク記録になった。

歴史的なロースコア樹立は堅実なプレーを貫いた結果だという。「14番では2回良いショットが打てて『3』で上がれて良かった。でもそれ以外はスマートにプレーした。良い2パットでしのいでいった」。パーオンを逃したのは2ホールだけだったが、スピードの戻らないグリーン上でもがまん強く18ホールを計28パットでまとめた。

キャリアで4回目の全英にして、初めてゴルフの聖地で大会を迎えた。「1番ティに立ったら子どもみたいな気持ちになるはず」とワクワクして臨んだ練習ラウンドでは、地形のうねりを楽しみながらコースを確認。試合に入って真剣モードに没入し、ショットで正しいポジションに置くことに必死になっている。

事前準備の機会だった「ジェネシス・スコットランドオープン」は週末に巻き返して10位。「風の中でどうクリエーティブになるか。良いショットを打とうとしていたが、うまくいくとは限らない」と予選ラウンド終了後の練習で考え方を整理した。時にはピンから遠く離れたエリアを狙うのもリンクスで求められるゴルフ。「ピンから離れたところに打っていくのはエゴ(自尊心)をちょっと傷つける。でもここでは必要なことなんだ」

後続には7アンダー8位にアダム・スコット、6アンダー12位にミンウ・リールーカス・ハーバート。同郷のオーストラリア勢が上位に多く顔を出している。「硬く、速くなると、“オージー”が今週はイイよ」と世界ランク6位で、同国のゴルファーを引っ張るスミス。グレッグ・ノーマンが制した1993年以来、29年ぶりにクラレットジャグを持ち帰れるか。

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