証明した“日本人でもできる”/松山英樹のマスターズ制覇プレーバック<最終日>
◇メジャー第1戦◇マスターズ 事前情報◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7510yd(パー72)
松山英樹が史上4人目の大会連覇に挑む「マスターズ」(7日~/ジョージア州オーガスタナショナルGC)。世界中のファンが待望するゴルフの祭典を前に、日本人初の偉業となった2021年大会をパトロンとして見守った記者(コロナ禍でメディアとしての入場はできず)が4回に分けて振り返る。
午後2時40分、前日に続くザンダー・シャウフェレとの2サムで最終組から出た松山は、1番で3Wのティショットを右の林に曲げてボギーをたたいた。2組前を回るウィル・ザラトリスが2連続バーディ発進して、4打あった後続との差は一気に1打まで縮まった。
予定より早く目が覚めるほどだったという極限の緊張感。1Wショットでフェアウェイを捉えた2番(パー5)でバウンスバックを決め、落ち着きを取り戻した。5番では5m強のパットが強めにカップへ飛び込むパーセーブ。8番(パー5)は複雑な傾斜に対して絶妙な寄せでバーディにつなげると、9番も獲って2連続。5打差でサンデーバックナインに入った。
「後半に絶対に難しくなると思っていた。緊張して簡単にバーディを獲れる状況ではなかった。ひとつずつ、ミスをしないようにやっていた」。ホールを進めていく中、一時は“脱落”したと思われたシャウフェレが猛追をみせる。松山は前日イーグルの15番(パー5)、果敢に4Iで2オンを狙った一打が奥の池へ。ボギーとなり、4連続バーディのシャウフェレとの差は2打まで詰まった。
続く16番(パー3)、オナーで打ったシャウフェレのティショットは左手前の池に落ちてトリプルボギー。セーフティにグリーンへ乗せた松山は3パットボギーで通算11アンダーにスコアを落としたが、すでに9アンダーで終えていたザラトリスとの勝負に切り替わった。
17番は1Wショットで完璧なドローボールを披露。最終18番も理想的なフェードボールで左右の木の間を打ち抜いた。セカンドを右のバンカーに入れ、1.8mのパーパットは左へ外れるもタップインのボギー。「73」で10アンダーとして逃げ切った。チームメンバーと抱き合い、目を潤ませてスコア提出所へ。「日本人は今まで『できないんじゃないか』というのがあったかもしれない。僕はそれを覆せたと思う」。アマチュアでの初出場から10年後にかなえた日本の悲願。栄光のグリーンジャケットに袖を通し、高々と両手を掲げた。(編集部・亀山泰宏)