無念の17番 新人ティーガラは1打及ばずも「応援、家族に感謝」

◇米国男子◇WMフェニックスオープン 最終日（13日）◇TPCスコッツデール（アリゾナ州）◇7261yd（パー71）

勝者に向けられた拍手にも劣らない大歓声だった。3mのパーパットを沈めて激闘を締めくくったルーキーは、世界一のギャラリー数を誇る大会の中心にいた。新人のサヒス・ティーガラは通算15アンダーでプレーオフ進出に1打及ばない3位。初優勝はお預けとなった。

3日目を終えて単独トップ。後続には歴戦のトッププロたちが並んだ。3打差以内に11人、5打差以内には19人というリーダーボード。その厳しい戦況に屈することなく、上位で最終ラウンドを引っ張った。

勝負どころは前の組で回っていたパトリック・カントレーに並んで迎えた17番。1オン狙いのティショットはグリーン左の池に入った。「良いショットだったんだ。ほんの数ヤード、右に飛んでいれば完ぺき、前に飛んでいたはずだったのに。左にキックしてしまった」。痛恨のボギーで一歩後退、初タイトルが遠のいた。

インドからの移民である両親を持つカリフォルニア育ちの米国人。世界アマチュアランキングで最高3位まで上り詰めた24歳は、下部コーンフェリーツアーを経て今季、PGAツアー1年目を送っている。

昨年秋に優勝争いした「サンダーソンファームズ選手権」（8位）と比べても、「僕もキャディのカールもアドレナリンをうまくコントロールして、良いプレーができた。とにかく楽しめた」と胸を張った。なにせ、たくさんのファンの記憶にその名を刻み込むことができた。「最後の3ホールでも名前を呼んでもらって応援してもらった。最高だった」

ロープの外から声援を送った親族は期間中に日に日に増え、最終日は両親のほか、おじが5人に、おば6人、いとこも4人。コーチやトレーナー、キャディのガールフレンドも含めた大応援団が一緒に戦ってくれた。「家族を抱きしめて、感謝の気持ちを伝えたいと思う」。激闘を終え、父のムラリダールさんとハグを交わすと、190㎝の身体を折り、母カルナさんの胸で涙した。（アリゾナ州スコッツデール／桂川洋一）