2021年 ツアー選手権

「命がけで闘った」 6日間入院のリードが最終戦に出る理由

2021/09/03 11:54
「息ができなくなった」と入院生活を振り返ったパトリック・リード(Kevin C. Cox/Getty Images)

◇米国男子プレーオフ最終戦◇ツアー選手権 初日(2日)◇イーストレイクGC(ジョージア州)◇7346yd(パー70)

「レンガで殴られたような衝撃だった。突然、文字通り息ができなくなったんだ」。パトリック・リードの言葉は生々しい。

足首のケガの診察で訪れた病院で肺炎と診断されて入院。プレーオフシリーズ2試合を欠場し、このシーズン最終戦が約1カ月ぶりの復帰戦となる。

入院の際に医師から言われた「家族と連絡を取り合うように」との言葉で、症状が決して軽いものではないことを悟った。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、昨今は家族ですら付き添いを許されない。「妻を抱きしめることもできない。子どもたちに(直接)別れを告げることもできないのでは、ということが頭をよぎった。暗闇の中にいるような感じだった」と身震いする。

「命がけで闘った」という入院生活。治療のかいもあって6日ほどで退院できたが、肺に負担をかけないため飛行機での移動は医師の許可が下りなかった。拠点のあるテキサス州ヒューストンからジョージア州アトランタまで、1200㎞を超える道のりを車で移動。8月30日(月)にフルスイングでの練習を再開したばかり。万全にほど遠い状態から、さらに約12時間を移動に費やしても出場にこだわったのは、3週後の欧米選抜による対抗戦「ライダーカップ」の代表入りに望みをつなぐためだ。「(ライダーカップの年でなければ)ここにはいない」と言い切る。

前日2日には会場を訪れていたキャプテンのスティーブ・ストリッカーとも話し、目の前でプレーして復帰に向けたプロセスをアピール。ポイントランク30位のイーブンパースタートから「72」で2オーバー28位として初日を終え、「いまは練習を重ねて、エネルギーレベルと力強さを取り戻していくだけ。ライダーカップまでには、自分のゲームが求める状態になっていることを確信している」。メディアを通して自分を売り込むことを忘れなかった。(ジョージア州アトランタ/亀山泰宏)

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