“お先パット”もクルリ 「東海岸用」アイアン投入の星野陸也は芝目に対応できず
◇メジャー第4戦◇全米プロゴルフ選手権 2日目(21日)◇キアワアイランドゴルフリゾート・オーシャンコース (サウスカロライナ州)◇7876yd(パー72)
「このくらいのパットも入らない」。肩幅ほどにひろげた左右の手を見つめ、星野陸也は何度も嘆いた。スタートの10番で3パットボギー、続く11番(パー5)も3パットでパー。「2オンしたのに50㎝ないくらいのを外して。ここまで外すか…というくらい」。バーディなしの「83」はグリーン上で迷宮に入った結果だった。
初日に気にしていたグリーン上の“芝目”にこの日も対応できなかった。「(11番で)さすがにこんなに短い、50㎝は芝目なんて関係ないだろうと思ったのに右に持っていかれた」。18ホールで要したパットは実に「35」。後半最初の1番では“お先”のパットがカップのフチを回ってボギーにした。
「心がきつくなってきて、ショットにも影響が出てしまった。頑張ればうまくいくかなと思っていたけれど、すべてが…」。キアワアイランド・オーシャンコースのグリーンの芝はシーサイドコース特有のパスパラムという種類。日本のコースには少なく「(パッティングの)セットアップの段階で違和感もあった」とホールを進めるごとに疑心暗鬼になっていった。
米国に乗り込んでくる直前、日本ツアーでシーズン3勝目を挙げた「ダイヤモンドカップ」では1Wを住友ゴム工業のスリクソン ZX5に替えただけでなく、Z945アイアンも同じモデルながらバウンスを削ったセットにスイッチしていた。「硬い地面に対応できるように。“東海岸用”です」。メジャー初出場だったニューヨーク州シネコック・ヒルズGC開催の2018年「全米オープン」での経験を生かした作戦を練っていた。
そのアイアンを含め、ショットには持ち前の飛距離も活かせると感じただけに「本当に、メチャクチャ悔しい。2日で1バーディでは…」と腰に手をやって言った。「悔しすぎてメンタルがきつかった。パットでズルズルいって、途中からショットまで悪くなった」。通算15オーバーで予選落ち。メジャーの壁、多種多様な米国のコースに跳ね返された。
「東京五輪」代表の座を争う金谷拓実とともに決勝ラウンドには進めなかったが、2人とも米国に残って練習を続ける。星野は「全米オープン」に向けた6月7日(月)の最終予選会に挑戦するつもり。挫折と経験は一緒になって増えていく。(サウスカロライナ州キアワアイランド/桂川洋一)