2021年 AT&Tバイロン・ネルソン

「マスターズに勝つってスゴイ」松山英樹は復帰戦で実感

2021/05/14 09:23
最終ホールをバーディで締めて「68」で復帰ラウンドを終えた(撮影/田邉安啓)

◇米国男子◇AT&Tバイロン・ネルソン 初日(13日)◇TPCクレイグランチ (テキサス州)◇7468yd(パー72)

「マスターズチャンピオン」のアナウンスに、いつもより長い歓声が響く。松山英樹は3Wを手に周囲の祝福にゆっくりと応えた。「マスターズに勝つことって、スゴイんだなと改めて思いました。(同組の)ジョン・ラームより歓声が多くて、それはうれしいなと」。感慨にふけりながら、日本男子史上初のメジャー覇者としての一歩を踏み出した。

オーガスタの歓喜から32日。一時帰国を経て、急ピッチで再始動した松山は「ショットはどこに行くんだろう…という感じでした」との心配とは裏腹に、安定したロングゲームで流れを作った。全体平均「68.75」のロースコアの争いで、パッティングに足を引っ張られる中、バンカーのすぐ奥、グリーン手前のエリアにピンが立つ6番で最初のバーディ。残り52ydからスピンで戻して1mに寄せ、ウェッジの技を披露した。

大勢のギャラリーに見守られながら回った松山英樹(撮影/田邉安啓)

バックナインの入り口10番は143ydの2打目を“OK”につけ、そこから3連続バーディとして出遅れまいと食らいついた。スーパーショットは12番(パー5)。フェアウェイから残り228yd、左足下がりのライからドローボールで攻め込み、ピン右3mをとらえた。「あれ(イーグルパット)を入れたらもうちょっと波に乗れたと思う」と悔やむほどだ。

5バーディ、1ボギーの「68」。復帰戦で4アンダーの出だしは悪くないはずだが、首位とは5打差というハイレベルな争い。1つのエラー、1つのボギーへのダメージはいつも以上に痛い。「アプローチ、バンカー、パッティングというところで、まあミスが多かった」。感覚をもう一度鋭くしているところでもある。

新しいアイアンセットでプレーした(撮影/田邉安啓)

余韻を残しながらも、リスタートへの準備は怠っていない。この日はマスターズを制した14本のクラブののうち、8本を入れ替えた。3番目に飛距離の出るクラブとして、コブラ製の5Wをチョイス。アイアンは同じダンロップ スリクソン Z-フォージドをすべて新品にした。次週のメジャー「全米プロゴルフ選手権」(サウスカロライナ州キアワアイランド)への試運転の意味もありそうだ。

「ショットが少しずつ良くなっている。アプローチとパターでつなげられれば、良いスコアで回れるのでは」。最終18番(パー5)のバーディでなんとか予選通過圏内で終えた。緊張感たっぷりに復帰第2ラウンドを迎える。(テキサス州マッキニー/桂川洋一)

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