2021年 マスターズ

「マスターズ」直前 松山英樹のオーガスタナショナルGCガイド/1番(パー4、445yd)

2021/03/22 19:45
「マスターズ」の会場、オーガスタナショナルGCを松山英樹が解説

ゴルフの祭典「マスターズ」は4月8日(木)に開幕する。アジア勢初のローアマチュア獲得の快挙を遂げた2011年大会から今年で10回目の出場となる松山英樹が、開催コースであるジョージア州オーガスタナショナルGCの全ホールを解説する。夢の舞台のスタートホールからその難しさを強調した。

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オーガスタナショナルGC1番パー4。グリーン左手前のバンカーも深い(Rob Carr/Getty Images)

松山が初めてオーガスタの地を踏んだのは東日本大震災から約1カ月後の2011年4月。前年秋の「アジアアマチュア選手権」優勝でつかんだ権利で「マスターズ」に挑んだ。緊張感からスタートホールでは「手が震えてティペグが挿せない」という選手もいる中、東北福祉大の2年生だった当時を「ギャラリーがすごくたくさんいたが、普通の試合のひとつと思ってやっていました」と振り返る。

1Wを持つことがほとんどだが、まず警戒すべきは右サイド、深く掘られたフェアウェイバンカー。「先のほう(グリーンに近いエリア)で入ると2打目が大変。ピンまで残り140ydくらいのバンカーショットだが、目の前のアゴが自分の身長以上に高い。グリーンのフロントエッジから10yd先のエリアに落ちたボールは止まらず、手前に戻ってきてしまう。グリーンをとらえるだけでも難しい」

第1打はフェアウェイバンカーを避けて左サイドを狙いたい。とはいえ、「ファーストカットからは左からせり出た木がセカンドで邪魔になる」。そのため、バンカーの手前の距離で刻み、2打目に長い距離(フロントエッジまで約155yd以上)を残す選手もいる。

オーガスタナショナルGC1番パー4。最初の関門は右サイドのフェアウェイバンカーを避けること

2016年にアーニー・エルスが“6パット”させたグリーン。その周辺にもワナは多い。「カップが左に切られたときに入りやすい、グリーン左手前のバンカーも深すぎる」という。このひとつのバンカーも、どこから打つかで大きく状況が変わる。「ティに近いほうからなら寄せられるが、左横からはノーチャンス。傾斜でグリーンの手前の花道にスライスラインを描いて転がり落ちてしまう」。グリーンの全体傾斜はもっとも高い右奥のエリアから、手前にかけて下る。バーディ発進とするためには、左サイドの狭いエリアをとらえるショット力が欠かせない。

オーガスタナショナルGCの各ホールに共通する難しさは、「グリーンが大きいようで、ショットで狙える、ボールを止められるエリアが狭いこと」だと松山は言う。「そう考えると、どうしてもフェアウェイから2打目を打ちたい。ティショットで絶対にバンカーやラフに入れたくない…。ピンポジションから逆の計算をしていくと、すごくタフな1番ホール」。厳しい戦いの始まりだ。

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