2021年 ファーマーズインシュランスオープン

「自分の世界に入り込んだ」 パトリック・リードの不動心

2021/02/01 16:20
雑音を封印、タフなコースを攻略して逃げ切った(Donald Miralle/Getty Images)

◇米国男子◇ファーマーズインシュランスオープン 最終日(31日)◇トーリーパインズGCサウスコース(カリフォルニア州)◇7765yd(パー72)

パトリック・リードが実力で“雑音”をねじ伏せた。「試合に出ているときは何も見ないようにしているんだ。いつも通りの夜を過ごしたよ。自信をもってコースに来て、ヘッドホンをつけて、コーチと一緒に自分の世界に入り込んで、1番ティに向かった」。通算9勝目はキャリア50回目のトップ10フィニッシュ。着実に積み重ねてきた実績とは裏腹に、その言動から批判にさらされることもあった中で周囲の喧騒をやり過ごす術を身につけた。

首位タイで終えた3日目、10番のドロップ処置が議論を呼んだ。「ルールオフィシャルを呼んで確認して、ラウンド後のスコア提出を経て、するべきことをしたと認められた」。その時点で本人からすれば“終わったこと”。最終日へのメンタル的な影響は「まったくなかった」と言い切れる胆力があった。

早々にスコアを落とす同組のライバルたちを尻目に、前半6番(パー5)で2日連続のイーグルを奪取。残り271ydから2オンに成功し、14mを流し込んだ。「この2日間、(6番で)3Wをしっかり打てたこと、ラインを読み切ってそのパットを決められたことは、明らかにボーナスだった」とうなずく。サンデーバックナインはしぶとくパーを並べて差を広げた。

昨年9月「全米オープン」を終えてからデビッド・レッドベター氏をコーチに迎え、スイング改造の途上でもあった。

だからこそ、「ショートゲームに助けてもらうのではなく、武器として使うことがポイントだった」。グリーンサイドのバンカーからパーを拾った14番、48ydのアプローチを60㎝に寄せてしのいだ15番が真骨頂。6月の「全米オープン」の舞台でもあるタフなサウスコースを3日間トータル6アンダーとしたたかに攻略した。

「あなたがチート(ずる)をしたと思っている人もいる。彼らに何か言いたいことはありますか?」。会見の最後に投げかけられた執拗な問いかけを「きのう起きたことについては、すべて話した。僕にできることは、きょうに集中すること、僕が何も間違ったことはしていないというルールオフィシャルの言葉に耳を傾けることだけだ」と冷静にかわして席を立った。

2021年 ファーマーズインシュランスオープン