2020年 ビビント ヒューストンオープン

弟に続き「マスターズ」へ メキシコ勢42年ぶり米ツアー制覇

2020/11/09 11:01
メキシコ勢として42年ぶりの米ツアー優勝を遂げたオルティス。目には光るものが(Maddies Meyer/Getty Images)

◇米国男子◇ビビント ヒューストンオープン 最終日(8日)◇メモリアルパークGC(テキサス州)◇7432yd(パー70)

ダスティン・ジョンソンの追撃も、松山英樹の猛チャージもかわして見せた。「心配事なんてなかった。アグレッシブに、ガマンしながら。他人のことは気にしなかった。自分のプレーをすれば、きっとチャンスはある」。初勝利をかけた時間とは思えぬほどの、堂々とした終盤のプレーぶり。ただ重圧から解放された瞬間、涙が目からあふれ出た。

カルロス・オルティス、29歳。メキシコ・グアダラハラで生まれ、少年時代は同郷の女子ゴルフ元世界ランク1位、ロレーナ・オチョアに憧れてゴルフにのめり込んだ。プロ転向翌年の2014年、松山が優勝した「ザ・メモリアルトーナメント」でPGAツアーデビューし、下部ツアーで3勝をマークしながら、苦労も味わった。今季はPGAツアーに再昇格して迎えた2年目のシーズン。待望の初勝利の場所には、縁を感じずにはいられない。

「第2の故郷」と語るテキサスで声援を後押しにした(Carmen Mandato/Getty Images)

「テキサスで勝てたことが何よりだ。もう12年も住んでいる」。母国を離れ、北テキサス大に進学してから、ここが「第2の故郷」になった。「人々がみな親切にしてくれる。応援してくれる人を何人も見た」。優勝争いで時折、飛んだスペイン語での声援。周りにはコロナ禍で初めて、米本土で入場を認められたギャラリーの姿があった。

3日目まではティショットに苦しみ、パットでしのぐ展開。「だからフェアウェイにボールを置ければチャンスがあるはずだ」と最終日に臨む思考はポジティブだった。2つ前の組で回る松山に首位で並ばれた直後、16番(パー5)でピン手前2mにつける見事な2打目からバーディを奪い再び勝ち越し。「65」で通算13アンダー、後続を2打差で振り切った。

メキシコ勢のツアー優勝は1978年「クアッドシティオープン」を制したビクター・レガラド以来、42年ぶり。4月から延期された次週のメジャー「マスターズ」への出場権はないが、来年春の同大会の資格を手にした。昨年「南米アマチュア選手権」を制した、弟アルバロ・オルティスに続いてオーガスタの地を踏む。

※編注:「兄に続き『マスターズ』へ メキシコ勢42年ぶり米ツアー制覇」の見出しと本文を訂正しました。アルバロ・オルティスカルロス・オルティスの弟でした。

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