ドライバーと“心中”覚悟 デシャンボー「何があってもアグレッシブに」
◇メジャー第1戦◇全米オープン 3日目(19日)◇ウィングドフットGC(ニューヨーク州)◇7477yd(パー70)
大会前、ブライソン・デシャンボーはフィル・ミケルソンから助言を受けたという。「2006年にここで勝ちそうになったとき、人生で最高のショートゲームをしたと言っていた。スクランブリング(リカバリー)がいかに重要か。フィルは素晴らしいアドバイスをくれた」と感謝していた。
同じウィングドフットGCで行われた2006年大会の最終日最終18番。そのミケルソンが単独首位に立ちながら果敢に1Wを握ってティショットをミスし、ダブルボギーで優勝を逃したことはあまりにも有名だ。「フィルは18番で1Wを打って勝てるチャンスをふいにしたけど、あすはアグレッシブにいくのか」。記者からのちょっと意地悪な質問に、この日18番でボギーをたたいた“科学者”はよどみなく答えた。
「何があっても、アグレッシブにいくつもりだ。風とシチュエーション次第ではハイブリッドでフェアウェイの真ん中に刻むことになるけどね。きょうはフェアウェイに打てなかったけど、フェアウェイに打てばいいんだから」
狭いフェアウェイ、深いラフ、硬いグリーンと選手泣かせの要素がそろった今大会。ほとんどの選手がフェアウェイキープを最優先にティショットの番手選択から思考を巡らせる中、肉体改造によって規格外の飛ばし屋に変貌したデシャンボーの攻め方は一線を画す。
「(2打目で)レイアップせざるを得なかったのは2日目の1ホールだけかな。あれは打てないライだった。でも、遠くまで飛ばせれば(ラフからでも2打目を)ウェッジで簡単に打てると思うよ」と言ってのける。
肉体改造後の8月「全米プロ」でメジャー初のトップ10入りを果たし、今週は通算3アンダーで首位と2打差の2位につけて優勝争い。「これは間違いなく成果が証明されたと思う。このポジションにいることに興奮している」と胸を張る。
メジャータイトルを力ずくでもぎ取り、自らの理論を裏付ける。照明が灯った練習場での1Wの最終チェックは、午後8時を過ぎてからも続いた。