ゴルフきょうは何の日<8月10日>
2014年 マキロイのメジャー連勝と敗者のスポーツマンシップ
2014年、ロリー・マキロイ(北アイルランド)が「全英オープン」からのメジャー2連勝を達成した「全米プロゴルフ選手権」。タイガー・ウッズ後の“マキロイ時代”到来を感じさせた一戦の裏には敗者たちのスポーツマンシップがあった。
前週に「WGCブリヂストンインビテーショナル」も制し、世界ランキング1位に返り咲いて迎えた大会。1打差のトップで迎えた最終日は会場のケンタッキー州バルハラGCが豪雨に見舞われ、中断をはさみ最終組のティオフ時刻は約1時間25分遅れの午後4時19分。
同組ベルント・ヴィースベルガー(オーストリア)がスコアを落とし、“敵”は1組前のリッキー・ファウラーとフィル・ミケルソンに。一時ファウラーに首位の座を奪われながら後半10番のイーグルで盛り返して再逆転し、17番のバーディで2位に2打差をつけた。
メジャータイトルが目の前に迫る中、忍び寄る夕闇。マキロイが18番(パー5)ティにたどり着いたときファウラーとミケルソンは18番のティショットを打つ前。視界がどんどん悪くなり、いつホーンが鳴ってもおかしくない状況だった。
「18番ティで待っていたら、どんどん暗くなってしまう」。マキロイのそんな不安を、第1打を放ったファウラーの一言が消した。「合図をしたら(ティショットを)打ってくれ」。進行を早めるためファウラー、ミケルソンは第2打を放つ前に最終組にティショットを打たせた。さらにファウラーがイーグルパット、ミケルソンが3打目のアプローチを打つ前に再度プレーを止めてグリーンを空け、視界のあるうちにマキロイらに2打目を打たせた。
ミケルソンは1打差2位、そして2打差3位に終わったファウラーは試合後「(サスペンデッドの)ホーンが鳴ったときに、ティショットさえ打っておけばホールアウトが許されるからね。だから打たせたんだ」と振り返った。
25歳3カ月6日でのメジャー通算4勝目とウッズ、ジャック・ニクラスに次ぐ3番目の年少記録を作ったマキロイは、表彰式で2人への感謝を口にした。「彼らの品位や人格をよく表していた行動だった。2人のすばらしいスポーツマンシップに感謝したくて、優勝スピーチで何回も(感謝の言葉を)繰り返したんだ」