2020年 ザ・メモリアルトーナメント

原点はライダーカップで見たセベの雄姿 新・世界1位ラームの軌跡

2020/07/21 08:00
ジョン・ラームが25歳で世界の頂点にたどり着いた(Jamie Squire/Getty Images)

◇米国男子◇ザ・メモリアルトーナメント 最終日(19日)◇ミュアフィールドビレッジGC(オハイオ州)◇7456yd(パー72)

「セベの影響は大きかった。スペインのみならず、ヨーロッパの多くの人々にインスピレーションを与えた1997年のライダーカップで彼が発揮したキャプテンシーこそ、僕がここでプレーしている理由なんだ」とジョン・ラーム(スペイン)はいう。

その年、70年前に始まった対抗戦が欧州大陸で初開催された。キャプテンを任されたセベ・バレステロス率いる欧州選抜は、スペイン・バルデラマで米国選抜を撃破。当時、ラームはまだ2歳。大会に招待されていた父・エドルタさんの友人は、もともとゴルフ好きではなかったが、すっかり魅了されて帰宅した。興味を抱いたエドルタさんが、その後ラームのコーチを務めることになるエドゥアルド・セレスのアカデミーでレッスンを受け始め、ラームたち家族も続いた。

一家でゴルフに夢中になり、07年にはスペイン開催の欧州ツアーのシーズン最終戦「ボルボマスターズ」を観戦。大会を制してシーズン賞金王となったジャスティン・ローズ(イングランド)のエース達成を至近距離で目撃し、イアン・ポールター(イングランド)のプレーを追いかけ、ミゲル・アンヘル・ヒメネス(スペイン)にサインをもらった。

ラームの原点は97年のライダーカップでキャプテンとして欧州選抜を勝利に導いたセベだった(Getty Images)

華やかな世界への憧れを確かなものとし、「世界一」の大志を抱いたのは13歳か14歳の頃だったという。その後の活躍は、もはや説明不要。留学した米アリゾナ州立大で世界アマチュアランキング1位となり、米ツアーでは17年「ファーマーズインシュランスオープン」を皮切りに毎シーズン優勝。18年に初出場した「ライダーカップ」では、最終日のシングルス戦でタイガー・ウッズを破る活躍を見せ、昨年は欧州ツアーの年間王者に輝いた。

そして、ついにたどり着いた世界の頂。「スペインの歴史に名前を加えることができてうれしい。セベは僕たちにとって特別な選手であり、彼に続けたのは本当に名誉なことだ」。母国の英雄以来スペイン勢2人目の世界ランク1位戴冠を果たした25歳は、「とても独特な感覚だね。しばらくはこの感じを楽しみたい」と嬉しそうに微笑んだ。

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