テキサスから1770km C.T.パンはキャンピングカーでの全米行脚を選んだ
◇米国男子◇RBCヘリテージ 事前情報(16日)◇ハーバータウンGL(サウスカロライナ州)◇7099yd(パー71)
振り返ればあの時、最初に行動に出たのは彼だった。3月の「プレーヤーズ選手権」初日、台湾のC.T.パンはスタート前に棄権。PGAツアーの新型コロナウイルス感染防止対策に疑問をぶつけ、SNSで「妻と自分を感染リスクから守りたい」と投稿した。大会の中止、そしてシーズンの中断が決まったのはその夜だった。
ツアー再開2戦目をパンはディフェンディングチャンピオンとして迎えた。前週の「チャールズ・シュワブチャレンジ」を終え、テキサス州フォートワースからサウスカロライナ州のヒルトンヘッドアイランドまでは1100マイル(1770km)以上の道のりを、自家用車でミシェル夫人と移動してきたという。ツアーは選手・関係者用のチャーター機を用意しているが、パンは「警戒を続けています。最近RV車(キャンピングカー)を買ったから飛行機に乗らなくてもいいんだ。手を洗って、安全のためできる限りのことをしたい」とリスク排除を徹底している。
3カ月前の行為を「本当に難しい決断だった」と説明した。「ジュニア時代からのキャリアで大会を棄権したことなんて一度もなかった。11歳でジュニアの世界大会に出たときだって鼻血を流しながらプレーを続けた。それでも、自分と妻を守るためだった」。当時もフロリダからテキサスまで車で帰宅。自粛期間中は自宅ガレージにインドアゴルフ用の機器を設置し、YouTubeチャンネルで積極的にレッスンなどの動画配信も始めた。
「中止が決まったとき、もう来シーズンまで戻れないと思っていたんだ。だから新しいスケジュールが発表されて、RBCヘリテージが(再開)2試合目になったときは驚いたし、うれしかったよ」。予選ラウンドは世界ランキング1位のロリー・マキロイ(北アイルランド)、リッキー・ファウラーと同組。電波を通じて多くの視線を浴びることになる。